カスペルスキーが寄付する「ガイガーカウンター」5000台、受け入れ先は未定
ユージン・カスペルスキー氏 |
寄付する物とは別のガイガーカウンター。カスペルスキー氏の私物 |
東日本大震災の被災地支援で、義援金に加え、放射線量を測定する機器「ガイガーカウンター」5000台を寄付すると発表した株式会社カスペルスキー。ウイルス対策ソフトなどを手がける同社がガイガーカウンターを寄付する理由について、露Kaspersky LabのCEOを務めるユージン・カスペルスキー氏は「ロシアがチェルノブイリを経験していることが大きい」と語る。
「放射線は目に見えないので不安が広がる。ガイガーカウンターは直接身を守るものではないが、身を守るための指標としては非常に大切だ。日本ではガイガーカウンターが不足しているということも聞いていた。」
カスペルスキー氏は今回、Android向けセキュリティアプリ「カスペルスキーモバイルセキュリティ9」などのプロモーションや、販売パートナー向けカンファレンスなどのために来日した。原発事故について過熱気味に報じる海外メディアも少なくないことから、日本へ行くと言うと、ロシアでは「変人扱いされた」と振り返る。
「多くの外国人が放射能を恐れて日本を脱出する中、私は震災前に組んでいたスケジュールを変えずに来日した。それは、私の日本市場への思いが、口だけでないことを表している。ただ、家族には心配をかけないために『ドイツへ行ってくる』と嘘をついてきたが(笑)。」
Kaspersky Labが手配したガイガーカウンターは、ロシア製とベラルーシ製の2種類。両国のメーカーと契約し、毎月数百個単位で製造してもらっている。初回ロットの500個は納入済みで、マニュアルも独自に日本語化した。Kaspersky Labの倉庫で発送を待つだけとなっているが、寄付先はまだ決まっていない。
寄付を受け入れる側としても、「誰にどのような基準で配布するか」を決めるのが難しいことが背景にある。複数の自治体から「ガイガーカウンターが欲しい」という要望が寄せられたが、「問い合わせベースで配布していたら『早い者勝ち』になってしまい、届けるべきところに届かない可能性も出てくる」(株式会社カスペルスキー川合林太郎代表取締役社長)。
カスペルスキーとしては、一元的に受け入れてくれるところを探し、現在も各方面と調整を続けているところだという。川合氏は「まずは日本政府で受け入れてくれれば……」と歯がゆさをにじませている。
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(増田 覚)
2011/4/19 12:45
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