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英Financial TimesがHTML5アプリを公開、Appleのアプリ内課金を回避


FT Web App

 英経済紙「Financial Times」は7日、HTML5技術を使用して開発されたウェブアプリ「FT Web App」を公開した。この種のアプリを公開するのは「メジャーな報道出版社としては初めて」だとしている。iPad/iPhoneに対応しており、今後はAndroidとBlackBerryにも対応予定だ。

 Financial Timesは、Apple App Storeでもアプリを公開しているが、このタイミングでのウェブアプリの公開は、近日開始予定のアプリ内課金によるAppleからの手数料徴収を避けると同時に、複数のプラットフォーム向けにアプリ開発を続ける負担を回避するという両面の意味合いを持つと考えられる。

 FT Web Appの機種別対応状況は、現段階ではiPadの全モデルとiPhone 4/3GSのみ。iPhone 3Gには対応していない。将来的にはAndroid端末(Samsung GalaxyやMotorola XOOMの名前を挙げている)やBlackBerry PlayBookでも対応していきたい考えだ。

 ウェブアプリであれば、Apple App Storeの審査プロセスを回避でき、ユーザー側もいつでも最新バージョンのアプリを利用できるメリットがある。また、Financial TimesのFAQによると、「複数のネイティブアプリをさまざまな製品のために開発することは、事業としても財政的にも手に負えない。1つのコアコードベースを保有することで、FTアプリを一度に複数のプラットフォームに向けて配信できる」とメリットを強調している。

 さらに現在の業界の状況について、「ネイティブアプリは、ウェブ技術が追いつくまでの間の橋渡しにすぎない」と指摘し、将来的には一部のパフォーマンスを必要とするアプリを除けば、HTML5アプリがますます増加していくだろうと予測している。

 FT Web Appは起動すると全記事をダウンロードし、オフラインで読めるようにする。そのデータ量は最大25〜30MBという。ただし動画は容量が大きいためダウンロードされない。また、ウェブアプリの特徴として、アップデートを必要とせず、ブラウザーからアクセスするだけで利用できる。

 FT Web Appは無料のユーザー登録による無料ダウンロードとなる。また、公開キャンペーンとして、7月14日まで全記事を無料で読むことができる。その後は、無料ユーザー登録を行えば、30日間に10件の記事を無料で読むことができる。

 このアプリによってFinancial Timesは、Appleによる手数料徴収や審査を回避できることになる。しかし一方で、まず最初にiPadとiPhoneに最適化したことを前面に打ち出し、Android端末への対応を遅らせていることも注目される。Appleのアプリ内課金は手数料の高さなどから評判が悪く、今後他のメジャーな出版社がFinancial Timesの動きに追随するかどうかに注目が集まりそうだ。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2011/6/8 12:17