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Mozillaが企業向けワーキンググループを設置、“高速リリース問題”を議論


 米Mozillaは19日、「Mozilla Enterprise User Working Group」を設置したと発表した。このワーキンググループでは、企業のITスタッフと開発者、またFirefoxの開発者が集い、Firefoxを企業内にデプロイするためのベストプラクティスについて議論することになる。

 Firefoxは、6週間ごとにメジャーアップデートを行う“高速リリース”を採用したことから、さまざまな内製アプリケーションやミッションクリティカルなアプリケーションを企業内で運用している企業ユーザーから、不満や非難の声が上がっていた。

 この問題については、Firefox開発者であり、同時に企業のITコンサルタントでもあるMike Kaplan氏が6月21日に自身のブログで書いたことが大きな議論を巻き起こした。同氏は、Firefox開発者の立場としては高速リリースサイクルを大歓迎するものの、企業内にFirefoxをデプロイする立場としては「大きな問題である」と指摘。その理由として、セキュリティパッチの場合にはアプリケーションの挙動に変化が生じることはまずないため企業でも安心して適用できるが、メジャーアップデートの場合、そのようなことは期待できず、その結果リリースのたびにすべてのテストを行わなければならないことを挙げている。それが6週間ごとに行われることになると、1つのテストサイクルが終了してデプロイする度に次のバージョンが登場し、それが延々と繰り返されることになる。あるいは、テストやデプロイが完了しない間に、次のバージョンが出てくることさえありうる。これは企業にとっては大きな問題となる。

 このブログエントリーにはたくさんのコメントが付いたが、その中でIBMのCIOオフィスに勤務するJohn Walicki氏のコメントが問題の大きさを示すことになった。同氏は自身の置かれている状況について、「脆弱性の残されたFirefox 4をデプロイするか、最初から数千もの内製アプリのテストサイクルをやり直してFirefox 5に移行するか、すべてのパッチが適用されているFirefox 3.6.xにとどまるかの選択を迫られている」と実情を吐露しした。

 ところがこの重要な投稿に対して、Mozillaのコーディネーターとして著名なAsa Dotzler氏は、「コストとメリットのトレードオフの問題」としただけでなく、「企業ユーザーを喜ばせるために1分間を費やすぐらいなら、たくさんの普通のユーザーを喜ばせる方がはるかによい」と、Mozillaのリソース配分についての考え方を率直すぎる文体で書いたことから、大きな議論となってしまった。

 その間、Microsoftは、Internet Explorerがいかに企業ユーザーのニーズに応えているかを公式ブログで説明しただけでなく、実際に問題に直面している企業のITスタッフに、Internet Explorerの採用を率直に呼びかけることまでした。

 こうした中で一部のFirefox開発者からは、Firefoxの企業内デプロイを容易にするためのアイデアが出つつあった。そして新たに今回のワーキンググループが設立されたことになった。

 このワーキンググループでは、メーリングリストでの議論、実際に関係者が集まる会議、毎月の電話会議が行われ、望まない限り関係者のプライバシーと企業名は伏せられるが、議論の要約は公開されるとしている。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2011/7/20 12:10