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デジタルアーツ、未成年のスマホ普及にフィルタリングを


インターネット協会の国分氏と綾乃美花
デジタルアーツの道具氏

 デジタルアーツは、「スマートフォン普及で未成年に迫る携帯トラブルの最新事情」と題して記者発表会を開催した。新CMキャラクターの綾乃美花が登場したほか、インターネット協会の副理事長でインターネット・ホットラインセンター長である国分明男氏が講演を行った。また、デジタルアーツが同日発表した未成年のスマートフォンの利用実態調査結果なども報告された。

ネットの穴ぼこに落ちないために

 登壇したデジタルアーツの代表取締役社長の道具登志夫氏は、「ネット通じた未成年者のトラブルは今も起きている。その多くは携帯端末で、小さな画面の情報端末でたくさんのトラブルが起きている。2015年にはほとんどの機種がスマートフォンに変わると言われるが、スマートフォンには有意義で多大な未来がある一方で、未成年者への教育や情報、アプリの管理がますます重要になるだろう」などと話した。

 インターネット協会の国分氏は、「ネットにつながっていれば世界のどこでもコミュニケーションできる時代。ネットの90%は便利で楽しいが、残りの10%の穴ぼこに子供たちが落ちないように教育しないといけない」と語る。ヘルプデスクに寄せられる相談は中学二、三年生と高校生の相談が多いとし、もっとも多い相談は架空請求によるものという。次いで、誹謗中傷に関するものが多く、中には、自ら他人を誹謗中傷する内容を書き込んで削除方法がわからないといった声もあるとのこと。

 国分氏が架空請求の事例として紹介したのは、SNS「モバゲータウン」(現在のMobage)ではなく、悪質な模倣サイト「モバゲィタウン」に誤って登録しようと空メールを送信したところ、架空請求が届くというもの。子供はびっくりし、脅迫めいた請求内容に親には内緒で支払ってしまう場合があるという。また、親の方で架空請求を無視して個人情報を出さないよう指示できればよいが、そこまでの知識がない。法律によって出会い系サイトが減っている一方で、SNSなどのコミュにサイトを利用した出会い系まがいの行為も増えつつあるとの見方を示した。このほか、学校裏サイトなどに代表するネットを介していじめもあり、こうした事例は日本以外の国でもあるという。

 3年前の法律制定後、フィルタリングサービスは、保護者が未成年者に携帯電話を持たせる際に設定する義務ができた(罰則はない)。国分氏は、ネットが閲覧できる携帯ゲーム機にもすでにフィルタリング技術が導入されていることや、今後、ネット対応テレビなどにも注意が必要だと述べた。さらに国分氏は、フィルタリングだけでは不十分で、保護者が子供とともにルール作りをする必要を説いた。



ネット被害の「気づきにくい問題」

 国分氏は、未成年者がネットデビューするために保護者が知っておきたいこととして、「わかりやすい問題」と「気づきにくい問題」があると説明した。

 わかりやすい問題としては、寝るまでいつまでもケータイを利用することで、ネットに依存し、ひいては生活が乱れてしまうという点や、架空請求詐欺、アダルトなどの有害図書的なコンテンツに接触しやすくなる点などが挙げられた。

 気づきにくい問題としては、悪意のある大人による誘い出しや誹謗中傷などの不適切な発言があるとした。国分氏は、「特に中高生の女の子が大人に誘い出され、被害に遭うことが非常に多い」と話していた。

 さらに、最近の傾向として、SNSなどを利用して自分で情報を配信することで楽しむ未成年がいるとして、個人情報を自ら出してしまわないよう啓発する必要があるとした。このほか、小学生のスマートフォン利用は現状ではほとんどないものの、中高生の中では比率がだんだんと増えているという。



楽しいフィルタリングに向けて

 フィルタリングが義務化されたとはいえ、トラブルに巻き込まれた未成年者のほとんどはフィルタリングを適用していないという。国分氏も、「日本の親は厳しくない」などと話しており、子供がフィルタリング解除を求めると親がそれに応じるケースも少なくないようだ。

 スマートフォンをより便利に使うには、ネットに自由に接続できることが必要と言っても過言ではないだろう。それでは、今後未成年者の間で普及拡大が予想されるスマートフォンにおいて、危険性を知ってもらう以外にフィルタリングを適用してもらう術はあるのだろうか。質疑応答の中で国分氏に聞いた。

 質疑応答の中で国分氏は、「たしかにフィルタリングは窮屈と感じるかもしれない。フィルタリングという言葉を“悪いものを遮断する”という、良い使い方につなげられないかなぁと思っている。しかし、まだまだそこには到達しておらず、答えも持っていない。不自由なだけではない楽しいフィルタリングが提供できれば、普及にさらに拍車がかかるはず」と語った。



未成年の携帯・スマホ実態調査

 デジタルアーツでは、未成年者の携帯電話やスマートフォンの利用に関して調査し、7日発表した。発表会ではこの内容も紹介された。調査はマクロミルによるインターネット調査として実施された。調査期間は11月18日・19日の2日間、有効回答サンプル数は1236件で、全国の10〜18才が回答した。なお、16〜18才は自主回答、10〜15才は保護者の質問に子供が回答する形で実施された。

 携帯電話およびスマートフォンを利用する未成年のうち、スマートフォンの占める割合は14.4%で、その多くは高校生という。Android端末が7.7%と多く、iPhoneは6.7%、Windows Phoneは0%となっている。今後スマートフォンにしたいと利用意向を示したユーザーは64.2%だった。

 利用するアプリはゲームが最も多く、趣味やSNSがそれに続く。未成年スマートフォンユーザーでもっとも多い高校生では趣味やSNSの回答も割合が多い。ケータイの利用について家庭内でルールがあるか聞くと、小中学生では8割以上が「ある」と回答したが、高校生では7割近くが「ない」と答えた。

 また、ネットで知り合った友達について、「いる」と回答したのは小学生が5.3%、中学生が13.1%、高校生は60%となった。「いる」と回答した利用者のうち、高校生の34%が一人で会いに行ったと回答しており、女子高校生では一人で会いにいったのが38.5%で、「会ったことはない」の34.1%を逆転している。なお、値とで知り合った友人と知り合った場所は、自分のブログが35.3%と高く、mixi(29.1%)、ネットゲーム(24.8%)、Twitter(24.5%)と続く。

 さらに、ネット上でのトラブル経験者は、全体では10.8%と少ないが、小学生2.7%、中学生6.6%という中で、高校生は23.3%と跳ね上がる。スマートフォン利用者が高校生の中で多いため、スマートフォン所有者と非所有者と比べると、トラブル経験者は所有者の方が多い結果となっている。

 このほか、携帯電話やネットでトラブルが起きた場合に保護者に相談する比率は、相談するが24.8%、相談しないが5.3%、トラブル未経験者が70%となった。保護者に相談しない理由については、「相談すると、使わせてもらえなくなる」が小中高校生のいずれも高く、高校生では「保護者が自分より知識がない」などの比率も高い結果となった。なお、未成年のフィルタリング利用者は、40.6%が「使っている」、19.7%が「使ったことがない」、18.7%が「使っているかわからない」、7.6%が「使っているが解除した」、13.3%が「フィルタリングについて知らない」と回答している。



未成年代表・綾乃美花が新CMに挑戦

 発表会では、トークセッションが行われ、新CMキャラクターの綾乃美花が登場した。17才の綾乃は、周囲にも迷惑メールなどでトラブルに遭遇した人がいると話したほか、「ネットの知り合いに会いに行くのは怖い」「スマートフォンはアプリがダウンロードできて普通より、楽しめる。ネットにも毎日つないでしまう」などと語っていた。CMでは国会答弁風に綾乃が主張するという。

 デジタルアーツでは、業界団体などとともに、教育委員会や学校で啓発活動を実施しているという。今回のテレビCMをきっかけにさらに周知を図っていきたい考えだ。



 


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(津田 啓夢)

2011/12/7 19:11