「SNSでは後発であることでチャンスもある」、Google+担当副社長Horowitz氏


Google+担当副社長のBardley Horowitz氏

 グーグル株式会社は9日、米GoogleのGoogle+担当副社長であるBardley Horowitz氏の来日に合わせ、記者説明会を開催した。

 Horowitz氏は、Google+は正式サービスの開始から数カ月でユーザー数が4000万人を超えたことを紹介し、「ソーシャルネットワークでかつてないほどの勢いでユーザー数が伸びている」と説明。「Googleはソーシャルネットワークの分野では後発だが、逆に後発であることでチャンスも開けている。すなわち、既存のソーシャルネットワークサービスの問題点を踏まえた上で、より良いサービスが提供できるからだ」と語った。

 Horowitz氏が既存のサービスの問題として挙げたのは、「これまでのサービスでは『友達』になる人が多すぎる。あるいは『友達』にならなければ使えないサービスが多すぎる」という点だ。「現実の人間関係には様々な背景があり、人はそれぞれの状況に適応したコミュニケーションをとっている。隣近所の人、学校の同級生、会社の同僚、そして本当の友達。それらが全て同じ『友達』では、適切な情報発信ができない」として、Google+ではそれぞれを「サークル」として分類することで、それぞれのサークルに応じた情報発信ができるとした。

 Google+では発言する際に、必ず誰向けへの発言であるのかをサークルなどの単位で指定する必要があり、基本的にパブリックへの公開となるサービスに比べると手間がかかると感じられるかもしれないが、データのコントロールをユーザーに提供していると説明。「Google+は今後、他のGoogleのサービスとも統合を図っていくが、それによって我々が得たデータをパブリックに公開することは考えていない。一方でユーザーに対しては、データ利用の透明性を提供することを重視していく」と語った。

 Google+のユーザー数は4000万人を超えたが、Facebookのように既に億単位のユーザーを抱えるサービスにどう対抗していくのかという質問に対しては、「現在Googleのプロダクトを使っている人がGoogle+のユーザーにもなってくれると考えている。GoogleのユーザーがGoogle+も使うことで、さらにより良いユーザー体験を得られるようにしていきたい」と回答。Google+は他のGoogleのプロダクトとは異なり、多数のプロダクトとの統合を含む包括的な「プロジェクト」として取り組んでおり、今後は検索やGmail、YouTubeといった様々な製品とGoogle+の統合を進めていくとした。

 また、Google+で提供するサービスの中では、10人までのビデオチャットが行える「Hangouts」(日本語版ではビデオチャットルーム)が大事なプロダクトだと説明。Hangoutsは、会議や外国語の学習など様々な使われ方をしているが、さらに大規模なブロードキャストが行える「Hangouts on Air」も正式版と同時にリリースしたことで、アーティストなどが自分たちで活動を伝えることにも使えるようになったと説明。日本でも、アイドルグループのAKB48がGoogle+を使っていくと発表したことをとても嬉しく思っているとした。

 Holowitz氏は、4000万ユーザーに達した現時点でも「ユーザー層はまだアーリアダプターが中心」だと考えているとして、積極的なプロモーションなどはこれから展開していくと説明。日本のユーザー数は24時間前のデータでは約200万人だったが、「AKB48の発表もあり、さらに増えたのでは」として、今後もさらに一般のユーザー層にGoogle+を使ってもらうための取り組みを進めていくと語った。


関連情報


(三柳 英樹)

2011/12/9 18:24