「解読には数十万年」の暗号を148.2日で解読、富士通研らが世界記録達成
株式会社富士通研究所、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)、国立大学法人九州大学は共同で、次世代の暗号として標準化が進められているペアリング暗号について、278桁長の暗号解読に成功し、世界記録を達成したと発表した。
ペアリング暗号は、2001年に開発された離散対数問題を安全性の根拠とする公開鍵暗号。既存の公開鍵暗号では実現困難だった様々な利便性の高い応用が可能で、次世代の暗号技術として標準化が進められている。
暗号は解読技術の進展や計算機の進歩により、解読のスピードが上がり安全性が低下するため、暗号がいつまで安全に使えるかは重要な課題となるが、ペアリング暗号は歴史が浅いため、新しい攻撃法に関してはその検討が未熟だった。
富士通研究所、NICT、九州大学による今回の共同研究では、これまで解読に数十万年かかり、解読不可能と考えられてきた278桁(923ビット)のペアリング暗号を、汎用計算機21台(252コア)を用いて148.2日で解読することに成功した。この結果から、解読不可能と思われていた暗号が、現実的な時間内で解読できることが実証され、脆弱であることを世界で初めて示した。
今回挑戦した問題は、従来の世界記録である204桁長(676ビット)に比べておよそ数百倍の計算パワーが必要な問題だったが、数式を使って初期値を最適化する技術や、データ探索を二次元空間に拡張する技術などを用いた新しい攻撃法、膨大な数値データから方程式の解を高速に計算する技術、計算機が持つパワーを限界まで引き出す並列プログラミング技術などを駆使することで、壁を克服することができたという。
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(三柳 英樹)
2012/6/18 14:01
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