スマホの紛失・盗難リスクは認識不足、シマンテック調査


 シマンテックは11日、スマートフォンや携帯電話に関する紛失・盗難について同社が行った調査結果を紹介する、報道関係者向け説明会を開催した。同社コンシューママーケティング統括本部 本部長の岩瀬晃氏は「スマートフォン、携帯電話を紛失したときの危険性がそもそも理解されていない。しかしリスクは常につきまとう」と指摘した。

 今回のレポートは、同社が2012年2月、日本や中国、インド、シンガポール、オーストラリアの5カ国で行ったオンライン調査(対象人数は1カ国につき500人)に基づくもの。説明会では日本市場における結果が示された。

モバイルでのリスクを認識しているのは半数ネットを通じた犯罪に巻き込まれる可能性は身近に迫っている
日本人の48%がパスワードで保護していないアドレス帳を失うことが一番困る、という回答が多い

 なくてはならないアイテムとなった携帯電話だが、マルウェア(悪意あるソフトウェア)や盗難などのリスクに対する認識は甘い、と岩瀬氏は指摘する。たとえば同調査では、日本人で「ネット犯罪の危険にさらされている」と認識しているのは半数に留まっているが、たとえば中国のユーザーは約8割が認識していると回答。危険性を意識しているユーザーは中国のほうが日本より3割ほど多いことが示された。

 いかにリスクが身近なものか示すデータとして、岩瀬氏は、日本人では45%がネット犯罪関連の迷惑電話、迷惑メールを月に2~3回受け取っているとする。また2011年に確認されたマルウェアは、前年の倍になった。

岩瀬氏

 持ち歩くものだけに、紛失・盗難もモバイル機器におけるリスクの1つ。実際に紛失したことがあるのは10人に1人と1割程度だが、そのうち69%は「アドレス帳の紛失が一番困った」と回答する。そして、そうした状況への対策となる端末へのパスワード設定を行っていない日本人は48%となっている。

 失った携帯電話を買い直すなど、元の状況に戻す際にかかった費用は、平均で1万2537円となった。ちなみに、復旧費用が発生したユーザーは、紛失・盗難に遭ったユーザーの約半数となる。残りの半数は端末を紛失したものの、何らかの形で手元に戻って、費用がかからなかったケースになるという。同じ状況が海外ではどうなるか、たとえば中国では、84%が端末が戻ってこず、費用がかかることになった。また費用そのものも日本の倍程度かかっているとのこと。岩瀬氏は「日本の国民性として、紛失時も返ってくる率は他国より高い、と言えるかもしれないが、それでも半分は戻ってこない」と述べる。

 岩瀬氏は「実際に紛失した経験がある人は1割程度だが、金額的にも精神的にも、そして時間的にもインパクトがある。対策をしておけば良かったと感じる人も少なくない。盗難紛失にあったユーザーのうちセキュリティ対策アプリを導入していたのは、13%だけだった」と語り、調査を通じてスマートフォン、携帯電話におけるセキュリティ意識があまり高くない現状が浮き彫りになってきた、としている。特にスマートフォンについては、「小さなパソコンと言えるスペックを持っているため、取り扱える情報が増加し、その分リスクはフィーチャーフォンより増大しているが、その点は認識されていないのではないか」との推測も披露された。

紛失後、元の状態に戻すためにかかった費用の平均額紛失盗難経験者のうちセキュリティアプリを導入していたのは13%


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(関口 聖)

2012/7/11 18:36