記事検索

Androidスマホ46機種の実機をリモートで時間貸し、アプリ開発のデバッグ用に


 NTTレゾナント株式会社は13日、Androidスマートフォンアプリ開発者向けの支援サービス「Developers AppKitBox」を開始した。スマートフォン実機のリモートによる検証環境を提供するほか、開発の知識やノウハウについての情報も公開していく。

 同サービスの主要機能となる「Remote TestKit for Android」は、データセンター内に置いてあるスマートフォンの実機をクラウド経由でレンタルするものだ。PCの専用クライアントソフト(Windows XP SP2以降に対応、Mac OS Xは準備中)からログインし、空いている端末を選んでレンタルすると、PCの画面上にそのスマートフォンの画面が表示され、そのPCに直接スマートフォンをUSB接続しているのと同様に操作できる。

 スマートフォンのブラウザーにURLを入力する時など、データの入力はPCのキーボードやマウスから行えるほか、PCのブラウザーで見ているウェブページをスマートフォン画面にドラッグ&ドロップすることで同じページをスマートフォンで開くといった操作も可能。ウェブページの表示のされ方などもすぐに確認できる。

 アプリのapkファイルをインストールして動作させたり、adbシェルを用いたリモートコマンドの実行も可能だ。Eclipseなど開発者が使用している既存のツールなどとも連携できる。画面キャプチャーと画面操作の録画機能も用意した。レンタル終了後は、端末が自動的に初期化されるため、インストールしたデータや履歴は消去される。

 料金は、あらかじめ利用権を購入する方式で、50時間分4万2000円、100時間分7万8750円。レンタルは30分単位での課金となる。2013年1月からは、1時間945円の利用権も販売する。当初は国内の法人向けに提供するが、個人開発者向けの課金機能も現在開発中だという。なお、初回アカウント登録時には2.5時間分の無料体験利用権がもらえる。

 Remote TestKit for Androidでは、株式会社カトマックの技術を採用した。スマートフォンからキャプチャー画面をダイレクトに取得しているため、ゆがみやちらつき、色合いの変化がなく、高速な画面転送も特徴という。キャプチャーした画面の縮小をや差分の検出、エンコードなどの処理をスマートフォンのハードウェア側で行って出力し、さらにサーバー側で差分合成やネットワーク速度に応じて画質および画面転送速度を調整する仕組みだ。

 これにより、リモートでもリアルタイムに近い形で操作でき、タッチパネルインターフェイスを備えたPCからであれば、スマートフォンをタッチ操作しているのと同様の感覚で操作可能だとしている。なお、現在は秒間15フレームとなっている。最新機種では50フレーム取得可能な機種もあるというが、転送データ量の問題もあり調整中だとしている。

ゲームアプリのリモート操作でも違和感がないとアピール。なお、スマートフォンはこのPCに直接USB接続されているものではなく、LAN上のRemote TestKit for AndroidのサーバーPC側に接続されているもの

 サービス開始当初、レンタル可能な機種は、NTTドコモおよびauのAndroid 2.3以降の46機種。実機は1台ずつ用意されている。当然ながらレンタル中は他のユーザーが使用できないため、人気機種については今後、複数台に増強する予定だ。また、今後はAndroid 4.0系列を中心に、間もなく発売される各社の秋冬モデルも順次提供していく。

 NTTレゾナントによると、国内で使用されるAndroidスマートフォン端末としては「GALAXY」「Xperia」「ARROWS」の3シリーズで6割程度をカバーできるとしており、これらの機種を中心にラインナップしていく考え。ただし、Remote TestKit for Androidの環境で安定して動作することが前提となる。実際、NTTレゾナントでは約80機種を調達したが、現時点でレンタル可能なのはその半数強ということになる。例えばNTTドコモのGALAXY S IIでは、レンタル終了時に行う端末の初期化処理がうまく動作しないといったこともあり、比較的メジャーな機種でも提供できていない機種もあるという。レンタル可能な機種および現在安定化を検討中の機種の一覧はDevelopers AppKitBoxのサイトで公開されている。

 NTTレゾナントによると、現在流通しているAndroidスマートフォン端末のバリエーションは、OSのバージョンや端末のチップセット、さらには通信方式やキャリアによるカスタマイズによって全世界で4000種類、国内でも400種類に細分化されるため、アプリ開発者にとって実機検証コストの肥大化が深刻になっているという。
 
 Remote TestKit for Androidにより「必要なとき・必要な分・必要なAndroid端末をレンタルすることで、実機の購入コストや維持・管理コスト、環境構築コストを削減することが見込める」としている。さらに近い将来、1機種で実施したテストを他の複数機種にも適用するなどの自動化機能の拡張を予定しており、さらなる検証コストの削減が図られるとしている。

 このほか13日からは、アプリのテスト方法の解説記事やHTML5の技術情報、開発ツール/フレームワークの一覧、開発のコツなどの情報を提供していく「Knowledge Note」も公開した。こちらは無料で利用できる。

 NTTレゾナントによると、Developers AppKitBoxというサービス名称はアプリ開発者の“工具箱”をイメージしたもので、アプリ開発における「企画」「開発」「テスト」「実行環境」というライフサイクルの最適化を目指している。今回提供を開始したRemote TestKit for AndroidとKnowledge Noteは、このうちのテストと開発のプロセスにそれぞれ対応するサービスとなる。さらに今後、企画のプロセスをフォローするコミュニティの運営やハッカソンの開催、実行環境をフォローするSDKの提供や外部API連携も予定しているという。




関連情報


(永沢 茂)

2012/11/14 11:20