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米で大規模オンライン講義サイトCourseraの講義を大学の単位として認定

~オンライン講義の「大学化」へ大きな一歩となるか

 大規模オンライン講座サイト(MOOCs:Massive Open Online Coursesと呼ばれている)の米Courseraは7日、Courseraの講義を大学の単位として認定されることになったと発表した。

 Courseraの5つの講義について、米国教育協議会が実施する大学単位推薦サービス(ACE CREDIT)が大学の単位習得に相当するとの認証を与えたとしている。

 米国の大学では、大学以外で行われた教育が高等教育レベルに達しているかどうかを判断するためにこのACE CREDITが用いられている。ACE CREDITが推薦した講義は、大学側が認めさえすれば、その大学で単位として認められる。ただし、必修単位、専門単位などどの種類の単位として認められるかは個々の大学によって異なる。

 今回のCourseraの発表により、Courseraで該当講義を修了した学生も、大学によっては単位認定を受けられることになる。

 ACE CREDITが現時点で認証した講義は以下の5つ。

 カリフォルニア大学アーバイン校の「Pre-Calculus(微積分入門)」「Algebra(代数)」、デューク大学の「Introduction to Genetics and Evolution(遺伝と進化入門)」「Bioelectricity: A Quantitative Approach(生体電気:計量的手法)」、ペンシルバニア大学による「Calculus: Single Variable(一変数微積分)」。いずれも学部レベルの単位となり、単位認定試験受験には追加費用が必要だ。

 また、試験に関しては現在ProctorU社との提携を進めており、学生はウェブカメラによって監督を受けながら受験できるようになる計画だ。

 今回の発表についてデューク学長Peter Lange氏は、「我々は、教育できる範囲を拡大し、これがなければ我々の教員にアクセスできる権利を持っていない学生に単位を提供するために、私たちのMOOCコースを使って新しい方法を試せるこの機会に興奮している。MOOCsは多くの場合、個々の大学の創造性との組み合わせによって、米国および世界中の学生が利用できる教育サービスに道を開き、豊かにする大きな可能性を持っている」とコメントしている。

 大規模オンライン講座は2012年に急速に広がり、今回の発表を行ったCourseraだけでなく、Udacity、edXなどに多数のエリート大学が参加し、多くの場合無料講義を実施している。教育効果を高めるために、講義は比較的短めで、ゲームなどの娯楽的要素を組み込んだり、インタラクティブなアプリを使用したりするなど、様々な工夫が凝らされている。また受講者同士のコミュニケーションを図るためのフォーラムが設けられることも多い。

 MOOCsが注目を集めているのは、大学教育の効果に疑問を持つ声が上がり始めていること、高い授業料などの経済的負担などが背景にある。一方でMOOCsが収益を上げる手段を持っていない問題も指摘されている。一部で修了書発行手数料や教授が在籍する大学へのライセンス料などがビジネスモデルとして議論され始めたのが現状だ。その意味でも、今回大学単位認定が認められたことは大きな一歩となりそうだ。

(青木 大我 taiga@scientist.com)