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JASRAC、「Cabos」使用の親子ら5人を著作権侵害で告訴、うち1人は翌日逮捕

 一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は、ファイル共有ソフトを使った著作権(公衆送信権)の侵害で、2月12日から26日の間に計5人をそれぞれ告訴したことを明らかにした。

 まず、「Cabos」を使ってJASRACの管理楽曲3曲を含む音楽ファイルを違法にアップロードし、不特定多数のユーザーに対して送信できるようにしていた長崎県の母親(51歳)と息子(26歳)について、2月12日に長崎県警察本部に告訴状を提出した。

 同じく2月12日には、「Share」を使ってJASRAC管理楽曲5曲を含む音楽ファイルを違法にアップロードし、不特定多数のユーザーに対して送信できるようにしていた滋賀県の男性(31歳)について、滋賀県長浜警察署に告訴状を提出。

 さらに2月18日、Cabosを使用してJASRAC管理楽曲4曲を含む音楽ファイルを違法にアップロードし、不特定多数のユーザーに対して送信できるようにしていた熊本県の男性(48歳)について、熊本県警察本部に告訴状を提出した。

 2月26日には、Cabosを使ってJASRAC管理楽曲2曲を含む音楽ファイルなどを違法にアップロードし、不特定多数のユーザーに対して送信できるようにしていた福岡県の男性(33歳)を告訴。これを受けて翌27日、長崎県警察本部生活安全部生活環境課と長崎県大浦警察署が、この男性を著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで逮捕したという。

 これらの件とは別に、2月19日から21日までの3日間、ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害の一斉取り締まりが行われており、全国47都道府県の警察が124カ所を捜索、27人を逮捕している。

ファイル共有ネットワークの著作権侵害は、警察が監視・発見するのが主流?

 今回告訴された事案を見ると、Cabosの悪用が多いのに気付く。JASRACでは従来より、各種ファイル共有ネットワークの監視活動を行っており、著作権侵害といえば、ひところはShareが主流だったという。しかし、権利者団体などによるShareネットワークへの監視が厳しくなるにつれ、Cabosのほか、「LimeWire」や「PerfectDark」といった別のソフトにシフトしてきたという。

 とはいえ、今回の5人に対する4件の告訴は、JASRACが特にCabosに狙いを絞って動いたというわけではないらしい。

 こうしたファイル共有ネットワークの監視活動は、何もJASRACをはじめとした権利者側だけで行っているわけではなく、全国の都道府県警察に設置されているサイバー犯罪対策の担当部署でも、わいせつ物なども含めた違法コンテンツを対象として行うようになっている。こうした活動を通じて警察側がつかんでいた著作権侵害の疑いがある事案について、JASRACのような権利者側にコンテンツの確認で問い合わせてくる流れが確立してきていると言われている。その結果、そのコンテンツの権利者によって著作権侵害が確認されれば、権利者から告訴状が提出され、正式な捜査に移るというわけだ。

 実際、福岡市の男性の事案では、JASRACが告訴状を提出した翌日に逮捕に至っている。このような迅速な摘発は、あらかじめ長崎県警側で発見し、事前に調査を進めていたからこそ可能だったとも考えられる。

 なお、今回の4つの事案で著作権を侵害していたとされるJASRAC管理楽曲は2〜5曲となっているが、これはあくまでもJASRACが著作権を管理するコンテンツで、同社が鑑定した上で著作権侵害であることが確認されたものだ。アップロードされていたコンテンツの総数・期間など詳しい状況は不明だが、通常は告訴にまで踏み切るのは大量アップロードや警告を無視して繰り返し長期間にわたって行われている悪質な事案に限られるとみられる。これら数曲のみのアップロードをJASRAC側が発見して告訴したというのは考えにくい。

 また、JASRACではこれまで、今回のように短期間にこれだけまとまった事案について告訴したことはなかったとしている。やはり、悪質な著作権侵害の疑いがあるとして警察側が把握していた事案において、その中の一部にJASRAC管理楽曲が含まれていたことから、JASRACが数曲を鑑定した上で告訴状提出に至ったパターンと言えそうだ。

 JASRACによると、同社がファイル共有ネットワーク上を監視しているのは、管理楽曲の著作権侵害行為を発見した際に、そのユーザーがネット接続しているISPを通じ、著作権の啓発や該当コンテンツの削除依頼を行うのが大きな目的という。それでも改善されない場合にはさらに警告文を送るステップもあり、いきなり告訴するということはないとしている。

 JASRACは、「ファイル共有ソフトを用いた違法な公衆送信は、著作権者に多大な損害を与えるばかりか、音楽文化を衰退させることに直結する」と説明。「関係者 と協力しながら侵害行為の撲滅に向け、広報活動等を通じて著作権の啓発に努めていく」としている。

(永沢 茂)