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Yahoo! JAPANのビッグデータが語る「あの瞬間」~3.11前後の分析レポート

 ヤフー株式会社は8日、特集サイト「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」を公開した。Yahoo! JAPAN内にあるさまざまなビッグデータを分析し、その結果を世の中の課題解決に繋げるレポートとして展開するという。

 同日公開された第1弾レポートのテーマは「東日本大震災から2年。Yahoo! JAPANのビッグデータが語る『あの瞬間』」。

 ヤフーによると、Yahoo!検索における「東日本大震災」というワードの検索件数は、震災発生から1年後の2012年3月11日や、他の大きな災害発生時あるいは過去の大震災(阪神・淡路大震災など)からの節目の時期こそ増加するものの、全体的にはなだらかに減少しているという。ヤフーでは「検索をするという行為が、知りたいという欲求による行動とするならば、検索数の減少は関心度の減少であるともいうことができる」とし、当時のYahoo! JAPANのアクセス状況や検索データなどから東日本大震災について振り返るビッグデータレポートを公開した。

 レポートでは、震災発生前後のYahoo! JAPANのページビュー(PV)を比較し、被災4県(岩手、宮城、福島、茨城)からの3月12日のアクセスが、震災発生前の週の同じ曜日(3月5日)の44%に減少しており、特に宮城では18%にまで落ち込んだことを報告。「停電などの影響で全くネットを利用することができなかった、もしくはネットで情報を見る余裕さえなかった様子がうかがえる」としている。

 一方、関東圏(東京、神奈川、埼玉、千葉、山梨、群馬、栃木)では、むしろ震災発生後に日を追うごとにPVが大きく増加したという。東京電力が実施した計画停電や福島第一原発に関する情報が求められた結果、ニュース系サービスを中心にPVを集めた結果とみられる。

 Yahoo! JAPANでPVが増加したのは、トップページ、ニュース、天気・災害、地図・乗換情報などのサービスだった。このうち特に増加が大きかったニュース系サービスのPVの増減について、震災前4日間と震災後4日間の比較を都道府県別に出しているが、宮城県を除くと岩手や福島など被災地域からのPVも増加していたことがわかる。ヤフーでは「震災や津波・原発の問題も収まっていない中でも被災地域がニュースなどの情報はネットを通じて積極的に取得していたと考えられる」としている。

地域別PVの震災前前週比推移(「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」より)

 デバイス別のPVの変化についてもまとめており、PCからのPVが東北・北関東で震災後に大幅に減少した一方で、スマ―トフォンからのPVは宮城を除き軒並み増加したことを指摘。「PCが使えない状況での情報収集の強い味方になったのでは」と推察している。

 また、全国のPVに占める被災3県(岩手・宮城・福島)のPV比率の推移についてもデバイスごとにまとめている。被災3県のPCからのPV比率は、3月13日の週に震災発生前の64%にまで落ち込んだ後、4月に入って約95%まで回復、さらに6月26日の週になってようやく100%を超えた。

 一方、携帯電話からのPVは3月13日の週に80%に落ち込んだ後、3月20日の週に101%に回復し、以降100%を超える推移を示している。さらにスマートフォンでは、3月13日の週に91%に落ち込んだものの、やはり3月20日の週に106%に回復し、日を追うごとに対全国比で数値を伸ばし続けているという。このことからも「被災地におけるスマートフォンの役目は全国からの利用以上の重要な役割を果たしていたと推察される」としている。

被災3県のPVの全国比推移(「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」より)

 ヤフーでは従来も、衆議院議員選挙やインフルエンザをテーマに、ビッグデータを活用したレポートを同社検索スタッフ公式ブログなどで公開してきた。今後は改めて、Yahoo! JAPANに蓄積された検索・広告・ショッピング・地域情報・ソーシャル上のトレンド情報などの膨大なデータを分析・活用して、定期的にYahoo! JAPANビッグデータレポートを提供していく。なお、個人を特定できないよう匿名化したデータのみを活用し、プライバシーには十分に配慮しているという。

(永沢 茂)