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米Google、MapReduce技術に関する10特許で「係争を起こさない」と誓約

〜Hadoop利用に弾み

 米Googleは28日、MapReduce技術に関して保有している特許10個に関し、オープンソースソフトウェアまたはフリーソフトウェアで利用されている限り、開発者との間で係争を起こさないと誓約する発表を行った。

 この誓約は「Open Patent Non-Assertion Pledge(オープン特許非係争誓約)」と名付けられている。

 説明によれば、Googleが誓約に従って係争を起こさない対象となるのは、フリーまたはオープンソースソフトウェアの開発者、ディストリビューター、ユーザーである。この場合のフリーソフトウェアはFree Software Foundationの定義に沿うものであり、オープンソースソフトウェアはOpen Source Initiativeの定義に沿うものとしている。従って、ハードウェアは含まれないほか、企業内使用やオープンソースではない場合には、誓約が適用されない。

 なお、特許技術をめぐってGoogleが他社から提訴された場合には、Googleは誓約を一時停止し、特許権を行使するとしている。

 GoogleはOPN誓約を業界モデルとしたい考えで、そのメリットを4つ挙げた。1)特許保有者は対象特許の特許権を保有し、その権利行使によって、営利目的などで利用された場合はライセンス料や損害賠償金を獲得できる、2)特許保持者は、特許権の行使が大きく制限される特定のオープンソースライセンスに束縛されないこと、3)特許訴訟を起こされた場合には誓約を中止できる、4)特許権が存続する限り、移転した場合でも誓約が存続する――と説明している。

 すでにIBM、Cloudera、Open Invention Network(OIN)がこの誓約への同意、支持を表明している。

 今回、GoogleがOPN誓約の対象とした特許はすべてMapReduce技術に関連する。MapReduce技術は、数千・数万のノードを持つ大規模クラスタ上で、膨大なデータを並列処理するアプリケーションを記述するためのソフトウェアフレームワーク。Googleのバックエンドで使われている並列分散処理システムで、GoogleがApache Software Foundationにライセンスを与え、Apache Software FoundationではHadoopプロジェクトとして実装した。Hadoopはオープンソースとして公開されていることから、ビッグデータ関連の研究開発などですでに多くの利用例がある。

 Googleは今後、OPN誓約適用対象特許の数を増やす意向を表明している。同時に、問題の根幹にあるパテント・トロール問題を解決するため、特許制度改正のためのロビー活動も引き続き展開していく。パテント・トロール問題とは特許権の権利行使によって、大企業などからライセンス料や損害賠償金を獲得しようとする問題で、Google自身も標的とされてきた。

 こうした取り組みはGoogleが初めてではない。過去の他社で行われた同様の事例では、米RedHatが同社保有特許ポートフォリオすべてに対して類似した誓約を行っている。また、米IBMと米Sun Microsystems(後に米Oracleに買収された)もそれぞれ500以上、1600以上の特許に関して同様の誓約を行っている。

 さらに米Microsoftは米Novellと戦略的提携関係を締結した際、個人のオープンソース開発者に対して特許係争を引き起こさないとの約束を「Microsoft Community Promise」として公開した。ここでは対象特許すべてが含まれていることで注目を集めた。

 Googleは米Motorolaの買収で携帯電話やスマートフォンに関する数多くの特許を保有するだけでなく、米IBMとの契約により取得した特許も数多く、保有または影響力を持つ特許数は正確には不明だが1万を超えると考えられている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)