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「夏までにベストセラーの80%はkoboで買えるように」楽天が事業戦略説明会
(2013/4/5 06:00)
楽天株式会社は4日、オンライン書店「楽天ブックス」と子会社のkoboが展開する電子書籍事業「楽天kobo」に関して、出版社向けの事業戦略説明会を開催した。楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、当面の目標としてはベストセラータイトルの80%をkoboで買える状況を夏までに実現させたいとして、約2万冊を楽天負担で電子化するなどの施策を実施するとともに、来場した出版社への協力を呼び掛けた。
三木谷氏は、電子書籍市場の規模が米国では2016年に1兆円を突破するという予測を紹介。日本でも、楽天が牽引することで2020年には1兆円突破を目指し、そのうちの50%のシェア獲得を目標としていると説明。まずは2016年に、年間500億円の売上達成を目指すとした。
2012年7月にkoboを発売してからこれまでは、デバイスの普及を図り、電子書籍をより身近にする「第1フェーズ」の段階としてはうまくいったのではないかと説明。現在では「第2フェーズ」として、電子書籍市場の拡大に向け、コンテンツの拡充とデバイス/サービスの継続的向上に努めていくとした。
デバイスについては、現在発売中の端末に加え、Androidタブレットの「kobo arc」など新しい端末をさらに投入していくと説明。また、koboのAndroid向けアプリも電子書籍アプリランキングで1位を獲得しており、iOS向けアプリも近日中にリリースを予定しているほか、PCおよびMac向けのアプリについてもリリースしていきたいとした。三木谷氏は説明会後の囲み取材の中で、iOS向けアプリについては来週には公開できる見通しであることも明らかにした。
コンテンツの拡充については、日本語タイトル数は3月末時点で約12万8000点に達したことを紹介。「数も大切だが、やはり重要なのは売れ筋の本が買えるということ。ベストセラータイトルの80%はkoboで買えるようという状況を夏までに達成したい」として、出版社への協力を求めた。また、新刊本は紙と電子での同時発売を標準化し、最終的には紙の全書籍の50%を電子書籍化することが目標だとして、そのために約2万点のコンテンツを楽天負担で電子化する施策や、著者や権利保持者の理解・許諾を得るための働きかけを推進していくとした。
楽天としてのユーザー獲得戦略については、楽天ブックスとの連携強化を進め、4月中旬には楽天ブックスで販売している書籍の商品ページにkoboの電子書籍の表示を開始。紙の書籍を購入しにきたユーザーに電子版をアピールするとともに、まだ電子書籍化されていないコンテンツについては紙の書籍の販売ページへの誘導なども進めていくとした。
三木谷氏は、「日本の電子書籍の市場規模は、この1年で少なくとも5倍、うまくいけば10倍くらいに成長すると思っており、この流れを皆さんとともに進めていきたい。それに見合った投資もしていくが、世界的に見てそうした投資ができるのはAmazonと楽天だけという状況。現在の世界シェアはAmazonが55%、koboが20%で、米国以外の市場ではkoboはさらに大きい。楽天もグループ全体で電子書籍を盛り上げていく」として、出版社に協力を呼び掛けた。