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「Firefox OS」スマートフォン発売、まずはスペインから途上国市場へ

 Mozillaは1日、「Firefox OS」を搭載したスマートフォンが発売されると発表した。

 このFirefox OSスマートフォンを製造するのは、仏Alcatelと中ZTEで、携帯キャリアのスペインTelefonicaとドイツDeutsche Telekomが2日から販売を開始する。

 いずれも途上国を主要市場とし、米国や日本など先進国市場での販売は今のところ発表されていない。

Firefox OS公式サイトには、端末紹介や豊富なスクリーンショットが掲載されている

 「Firefox OS」は2011年6月に「Boot 2 Gecko」プロジェクトとして開始され、その後2年にわたって開発が続けられてきた。

 普通のスマートフォンと同じように通話、メール、カメラ、メッセージなどほとんどの機能を安価な端末に搭載する。これに加えてFacebookとTwitterへのソーシャル機能も組み込まれ、Nokia製「HERE Map」地図による地図表示やナビゲーション機能、また多くの人が使い慣れたFirefoxブラウザーを搭載する。

 実際、Firefox OS自体は起動などOS機能を追加したFirefoxのアドオンとも言えるほどだ。またFirefoxマーケットプレイスからHTML5によるFirefox OS アプリもダウンロード可能だ。特に、使用したい機能を検索し、その場でアプリをダウンロードし、即座に使用できるオンデマンド機能は、Firefox OSがスマートフォン市場に持ち込んだ新しいコンセプトといえる。

 2日(現地時間)からスペインの携帯キャリアTelefonicaが販売するのは、ZTE社製Firefox OSスマートフォン。価格は69ユーロ(約9000円で付加価値税込みの価格)で30ユーロ(約4000円)のプリペイド無料通話付きだ。

 端末は3.5インチHVGA TFTディスプレイ(ワンポイントタッチ+ジェスチャーキャプティブ(2点オプション))、512MBのROMと256MBのRAM、3.2メガピクセルカメラ、加速度センサー、環境光センサーを備え、Bluetooth2.1、Wi-Fi802.11b/g/n、4GB microSDカードに対応。サイズは114×62×12.5mmで重さは120グラム。

 最新スマートフォンと比較すると性能面では遠く及ばないが、途上国市場で受け入れられるには十分な性能と低価格だと考えられている。

 発表を受けて、調査会社IHS Screen DigestアナリストのIan Fogg氏は「価格を理由としてスマートフォンを持たなかった人も、持たない理由はなくなった」とツイートした。

 また、携帯キャリアTelefonicaCEOのLuis Miguel Gilpe'rez氏はFirefox OSを採用した理由について「我々は、スマートフォンはよりオープンにする必要があると信じており、ウェブはこれを可能にするためのプラットフォームだ。消費者は、いずれかの1つのシステムにロックされるべきではなく、彼らが望むコンテンツを消費する選択肢と、端末を変えたときに一緒にそれを持ってこられるだけの柔軟性を兼ね備えているべきだ。この最初のオープンなウェブ端末は、これを可能にする重要なマイルストーンとなる。これはお客様に幅広いFirefox OS端末を提供する計画のほんの始まりに過ぎない」とコメントした。

 今後Deutsche Telekomはポーランドで、Telefonicaは数週間後に南米コロンビアとベネズエラで、またTelenorは2013年後半に欧州中東部のセルビア、モンテネグロ、ハンガリーで販売することを明らかにしている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)