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JNSA、ネット選挙における不審メールを受け付けるメールアドレスを開設

 特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会(以下JNSA)は7月4日、参議院選挙期間中に有権者が受け取った、不審な電子メールの転送を受け付ける専用メールアドレスを開設したと発表した。

 ネット選挙に伴うサイバーリスクの研究を目的とした施策で、選挙違反事例の収集や解析、摘発を目的とするものではない。

 JNSAが想定するサイバーリスクは、選挙活動に関連する情報の流出や破壊、BOTネットを利用した政党や候補者への攻撃、なりすましや改ざん、アカウントの乗っ取り、ネット選挙活動やそれに利用されるサービスを踏み台にしたマルウェア配布、選挙用サイトを偽装したサイバー攻撃、誹謗中傷や怪情報およびそれを元にした世論の不当な誘導など多岐にわたる。

 JNSAではネット選挙に伴って発生する恐れのあるサイバーリスクに関して実態の把握と分析を行い、解析結果を今後の参考となるように公表するほか、会員企業からのソリューション提供のための基礎資料として活用する予定だ。

 JNSAでは情報提供について具体的には、ネット選挙に関連して受信した電子メールで、おかしい、怪しいと思われるものは、JNSAの受け付けメールアドレス<senkyo@jnsa.org>に何も手を加えずに転送するか、もしくは受信したメールをファイルに落とし、JNSA宛にメール添付で送付するよう呼びかけている。転送を受け付ける期間は公示日の7月4日から7月31日まで。

 JNSAでは、メール転送受付期間中は内容について個別に閲覧や調査は行わず、情報の解析は8月以後に行う。メールの内容が選挙違反を疑わせるものであっても、個別に司法当局への通知などは行わないので、選挙違反として警察などの調査や対応を望む場合は、所轄警察または選挙管理委員会に届け出てほしいと告知している。

 また、解析結果の公表に際しては、受け付けたメールは統計処理したうえで扱うため、事例として表示する場合も含めて、転送者本人はもとより、発信人等の固有名詞や、個人を特定することができる可能性のある情報は開示しないとしている。

(工藤 ひろえ)