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Paul GrahamがY Combinatorの日常業務から引退
~Sam Altmanが新社長に就任

 米国の著名な起業家、エッセイストで、スタートアップ養成学校Y Combinatorの共同パートナーであるPaul Graham氏が、ファンドの日常業務から引退することを発表した。

 Graham氏の代わりには、Y Combinatorの現パートナーであるSam Altman氏が新しい肩書きである社長職に就任する。Graham氏はY Combinatorの今学期終了まで役目を務め、次学期からはSam Altman氏に引き継ぐ。

 Y Combinatorはベンチャーに資金を提供するための新手法としてスタートアップ養成学校の仕組みを編み出した。これまでにDropboxやAirbnbなど大成功したベンチャーを生み出したことで知られている。

 Graham氏は引退の理由として、Y Combinatorが成長する必要に迫られていることを挙げた。起業は当たり前のことになり、10年後に存在するであるスタートアップの数を考えれば、それに出資するY Combinatorの規模も比例して大きくならなければならないからだ。Graham氏は、そのためにはかねてより自身よりもリーダーとして高く評価しているAltman氏が適切だとした。

 新社長のAltman氏についてGraham氏は「彼は恐ろしいまでに効率的でありながら、同時に根本的に慈悲深くいられるという両方の資質を持っているという、まさに希有な人物の一人だ。理解する人は少ないが、これは初期段階投資に不可欠な品質だ。 Samは、私が知っている最も賢い人々の一人であり、私が知っている誰よりも、そして私よりも、スタートアップについてよく知っている。」と彼の資質を説明する。

 Altman氏はスタンフォード大学でコンピューターサイエンスを専攻中に位置情報サービスLooptを共同創業し、その後、Y Combinatorの非常勤パートナーなどを務めていた経緯がある。

 Y Combinatorに入校すればPaul Graham氏を始めとする優れたメンターからの助言、同窓生、人的ネットワーク、他のベンチャーキャピタルからの出資が受けやすくなるなど、様々なメリットがある。そのため、高い競争率と厳しい生活にもかかわらず入校希望者は引きも切らず、多くのスタートアップ予備軍やベンチャーキャピタルから注目を集め続けている。

 Paul Graham氏は今後の計画について、日常業務からは離れるものの、引き続きスタートアップへの助言はアドバイザーとして続ける。そして今後はエッセイを書くことにも意欲を示している。Graham氏はウェブに書いているエッセイでもよく知られており、国内でもこれをまとめた著作「ハッカーと画家」が有名だ。

(青木 大我 taiga@scientist.com)