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Windows Azureの「日本データセンター」が開設、東日本・西日本の2カ所で

国内のみでDR構成が可能に

日本マイクロソフト 代表執行役社長の樋口泰行氏

 日本マイクロソフト株式会社は25日、パブリッククラウドサービス「Windows Azure」を日本国内より提供するデータセンター群「日本データセンター」を、2月26日より一般向けに稼働開始すると発表した。なお、日本データセンターという名称であるが、単一のデータセンターではなく、東日本(埼玉県)と西日本(大阪府)に設けられるデータセンター群(リージョン)の総称となる。

 Windows Azureではこれまで、米国のシカゴやサンアントニオ、欧州のダブリン(アイルランド)やアムステルダム(オランダ)、アジアのシンガポール、香港などのデータセンターからサービスを提供しており、日本国内にはデータセンターがなかった。このため、日本の顧客はシンガポールや香港のデータセンターを利用するケースが多かったが、「日本データセンターでは、これらと比べてもレイテンシが3倍以上に改善する」(日本マイクロソフト 代表執行役社長の樋口泰行氏)という。

 また、「東日本と西日本の2つのリージョンが稼働するため、国内でディザスタリカバリ(DR)構成が取れる点もメリット。データは国内でバックアップを取るので、まったく国外に出ない。災害時にセカンダリサイトへ切り替えた場合でも、国内でデータを保持する」と説明し、国外にデータを出せないためにクラウド利用をちゅうちょしていた企業・自治体などについても、利用しやすくなるだろうとした。

日本データセンターの特徴
同一リージョンで3重のレプリカを持つほか、もう一つのリージョンにも3重のレプリカを持つので、全部で6重のレプリカを持つという

 サポート体制については、クラウド導入の無償相談窓口「Cloud Direct」を設置するほか、有償でのクラウド導入・移行支援サービスや、日本語での24時間の障害サポートなども提供。「日本マイクロソフトが、責任を持って相談、導入、移行支援、障害サポートまでを対応する。オンプレミスの時代から、法人向けビジネスを長くやっており、信頼性やセキュリティに対する取り組みも長期間続けてきた。そうした下地がないクラウドの専業ベンダーとは違うと考えており、日本で期待される品質に応えられるよう、まい進していく」(樋口社長)と述べ、万全の体制でクラウドサービスを提供するとの姿勢を強調している。

 ただし、マイクロソフトの強みはそれだけではないという。米Microsoft Windows Azureビジネス&オペレーションズ ゼネラルマネージャーのスティーブン・マーティン氏は、「74%の企業がクラウドサービスを必要に応じてオンプレミスに移行することを期待している」という調査会社のデータを引用した上で、「当社では、お客さまの好きな時にオンプレミスに戻れる点が強み。ハイブリッド環境はこれから何年も続くだろう」と述べ、オンプレミスとクラウドで同じテクノロジーを利用し、互換性が高いソリューションを提供している自社の強みをアピールした。

 なお日本データセンターは、36社の顧客企業ならびにパートナーが、早期利用プログラムを利用して評価を完了しているほか、120社を超えるパートナー企業が、日本データセンターを利用し、300以上のソリューションを提供する予定。樋口社長は、「日本データセンターを利用したエコシステムが、かなり堅固にできあがってきた」と述べ、従来通り、パートナーとの協業も強く進めていく意向を示している。

米Microsoft Windows Azureビジネス&オペレーションズ ゼネラルマネージャーのスティーブン・マーティン氏
パートナーとのエコシステムも引き続き推進

 また、Window Azureベースのクラウドサービス「FUJITSU Cloud PaaS A5 Powered by Windows Azure」(以下、旧サービス)を国内の自社データセンターから提供してきた富士通は、日本マイクロソフトの日本データセンターに環境を移設し、「FUJITSU Cloud PaaS A5 for Windows Azure」(以下、A5 for Windows Azure)としてサービスをリニューアルする。既存のユーザーについては、順次「A5 for Windows Azure」へ切り替えていくとのこと。

(石井 一志)