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米Microsoft、「Windows Phone 8.1」、「Windows 8.1 Update」を発表

 米Microsoftは2日(現地時間)、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開発者向け会議「BUILD 2014」を開始した。初日には「Windows Phone 8.1」、「Windows 8.1 Update」の4月8日公開、Windows開発プラットフォームの共通化、9インチ以下のスマホやタブレットOEMとODM向けにOffice 3651年サブスクリプションを含む無償ライセンス提供の開始などを発表した。開発者向け会議「BUILD 2014」は4月4日まで開催される。

 また発表に合わせて、NokiaがWindows Phone 8.1を搭載するスマートフォン3機種、フラッグシップモデルのLumia930、Lumia635、初めてのデュアルSIMモデルLumia630を発表している。

パーソナルデジタルアシスタント「Cortana」を搭載したWindows Phone 8.1

 発表されたWindows Phone 8.1には、Microsoftとして初めてのパーソナルデジタルアシスタント「Cortana」を搭載した。CortanaのペルソナはMicrosoft製ゲーム「Halo」のキャラクターに"インスパイア"されたもので、女性の声で応答する。Cortanaは「Powered By Bing」と銘打たれており、Microsoft製サーチエンジンBingをフルに活用する。利用者の振る舞いや質問に合わせて成長していき、利用者の関心事を事前に察知するという。

 開発時には現実の秘書にインタビューを行った。秘書が詳細なノートをつけていたことから、Cortanaにも同じ手法を採用し「Cortana's Notebook」にすべての情報が集積されるようにした。これによりCortanaは事前に利用者の状況を把握し対処することが可能となる。たとえば、飛行機の予約状況に応じていつ出発すべきかを通知してくれるだけでなく、所要時間の把握のために車の渋滞状況までも調べておいてくれる。

 またマナーモードの設定も利用者に合わせてくれる。その場合、自動的に通知、電話、テキストメッセージをオフにして静かにするが、利用者のインナーサークルにいる人々からの連絡はあえて通知する、といったことが可能だ。これらの状況はNotebookから利用者がコントロールできる。Cortanaの利用には音声認識だけでなく、タイプでも可能だ。

パーソナルデジタルアシスタント「Cortana」を搭載

 Windows Phone 8.1には「Action Center」に新しいアクティビティーや通知を一覧できるようになったほか、「Data Sense」や「WiFi Sense」といった種々の「Sense」搭載によってデータ利用状況の把握、ストレージ容量、効率的な電池利用を管理できるようになった。

 Windows Phone向けInternet Explorer 11も搭載。InPrivateブラウジング、パスワードキャッシュ、リーディングモードが搭載されている。Skypeとダイアラーの統合、利用者の癖を把握する「Word Flow Keyboard」も搭載された。

 企業向け管理機能も強化された。端末エンロールメントの簡易化、ビルトインのMDMクライアント、S/MIMI暗号化メールとVPNもサポートする。

 Windows Phone 8.1は、4月にプリインストールスマートフォン販売を開始。現Windows Phone 8ユーザー向けには、数カ月以内にロールアウトを開始する。また、パーソナルデジタルアシスタントCortanaは、間もなく米国でベータ版が公開され、その後2014年後半にイギリスと中国でリリース、その他の国での公開は2015年になるとしている。

 開発者向けには、今月末までに登録開発者プログラムの1つとしてスマートフォンをWindows Phone 8.1にアップデートできるようにする。

Action Center
カスタマイズ性の高まったスタートスクリーン
カレンダー画面もリニューアルした

Windows 8.1 Updateの発表

 Windows 8.1 Updateでは、対応するデバイスではスタート画面で電源ボタンと検索ボタンがアカウントアイコンの隣に配置され、スタート画面から素早くシャットダウンが可能になった。また、デスクトップ画面への直接起動がデフォルト設定となる。

スタート画面で電源ボタンと検索ボタンが配置された

 タスクバーにはデスクトップアプリだけでなく、Windowsストアアプリのピン留めも可能だ。タスクバーはどの画面を使用していてもマウスを画面下端に移動することにより表示でき、そこからピン留めされたアプリをクリックしてアプリケーションを簡単に切り替えられる。マウスを上端に移動させると、ストアアプリにも使い慣れた「閉じる」「最小化」ボタンが表示される。

 スタート画面でアプリタイルを右クリックすると、コンテキストメニューが表示され、ピン留め外し、タスクバーへのピン留め、アンインストールなどの操作が直接行えるようになった。デフォルトでWindowsストアがタスクバーにピン留めされるが、ピン留めは外すことも可能。新しいアプリをインストール後、左下に通知が表示されるようにもなった。

 Windows 8.1 UpdateのInternet Explorer 11では、利用しているWindows端末と、タッチまたはマウスとキーボードの利用状況を把握し、最適な表示方法が選択される。これによってスクリーンに表示されるタブの数、フォントサイズ、フォントやメニューのサイズが変化する。また、Webブラウザーのオンスクリーン、フルスクリーンブラウジング表示などをコントロールすることができる。

 企業向けにはエンタープライズモードInternet Explorer(EMIE)とExtended MDM(モバイル端末管理)が導入される。EMIEではInternet Explorer 11上でInternet Explorer 8との互換性が改善される。また、Extended MDMでは設定が追加され、WindowsストアアプリやWebサイトのホワイトリスト、ブラックリスト設定が可能となる。

 Windows 8.1 UpdateはMSDN購読者には発表と同時に提供開始された。Windows 8.1利用者に対しては、Windowsアップデートとして提供、Windows 8利用者に対してはWindowsストアを通して2014年4月8日から無料で提供される。

 Microsoftはハードウェアメーカーに対してOffice 365の1年間サブスクリプションを含むWindowsの無償ライセンスプログラムを開始する。これは、競争が激しいスマートフォン、タブレット、PCの分野で低コスト端末をパートナー企業が提供できるようにするためだとしている。

 今回のWindows 8.1 Updateでは1GBのRAMと16GBのHDD容量にも対応しており、このこともハードウェアメーカーがより低コストなノートPCやタブレット端末を開発できる根拠となっている。

Windowsデバイスのソースコード共通化

 開発者向けにはVisual Studio 2013 Update 2リリース候補版が発表された。

 新たに「Universal Project」が発表され、90%のソースコードを共通化できるという。スマートフォン、タブレット端末、PC向けに1つのパッケージングシステム、共通のユーザーインターフェイスのアプリケーションを効率よく開発できるようになる。

 Windowsストアのアップデートも発表された。アプリの検索やレコメンデーションを改善したほか、エンドユーザーが購入しやすいように工夫を行い、開発者向けにマネタイズしやすいよう改善したとしている。

 また、今週末にはユニバーサルWindowsアプリを非開発者でも開発できるようなWebベースツール「Windows App Studio」次期バージョンを公開する予定だ。

そのほか、Microsoftは「Kinect for Windowsバージョン2」を今夏発表することも明らかにされた。新しいセンサーとSDKを搭載し、Windowsストアアプリで初めてKinectを利用できるようになる。

(青木 大我 taiga@scientist.com)