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親の7割以上が子供のネット端末利用に不安、フィルタリング利用率が過去最高

 デジタルアーツ株式会社は14日、「未成年者のネット接続端末利用実態と未就学児の保護者の利用実態について」の報告書を公開した。

 携帯電話/スマートフォンを持つ10〜18歳の子供(代理回答含む)、および0〜9歳の子供を持つ保護者を対象にインターネットによる調査を行い、親子におけるネット接続端末の利活用の実態や意識の違いを比較した。子供618人、保護者600人の有効回答があった。

フィルタリングの利用率が過去最高

 携帯電話/スマートフォンを持つ子供のフィルタリングサービス利用率は、全体で44.6%となり、デジタルアーツが調査を開始した2011年11月以来、最高値を記録した。小学生が45.9%(2014年2月の前回調査では24.3%)、中学生が49.4%(同36.4%)、高校生が39.4%(同32.0%)。

 ただし、携帯電話/スマートフォンの購入時に「フィルタリングの設定説明を受けた」と回答した子供は40.5%(同43.0%)にとどまっており、携帯キャリアやショップでの周知が徹底したことによる利用率向上ではないという。

 フィルタリングの説明が徹底されてない中で、フィルタリングの利用率が増加した背景として、調査結果を発表したデジタルアーツの吉田明子氏は、「全国の都道府県の教育機関やPTAで、インターネット/スマートフォンでのトラブルについて未然に防ぐように注意をすることで、フィルタリング使用率の向上につながっているのではないか」としている。

 また、望まないサイトが表示されたと答えた子供の中で、一番多いのが「アダルト・ポルノ」情報で、特に女子高生の66.0%が望まないのに表示されたと回答している。アダルト・ポルノに次いで、出会い系、ゲームが多かった。

デジタルアーツ株式会社の吉田明子氏(広報・コーポレートマーケティング課)
子供全体でのフィルタリングの使用率は44.6%と過去最高
携帯購入時でのフィルタリングの設定説明を受けたと回答した子供は40.5%で、前回を下回った
望まないサイトが表示された経験数


子供のネット端末、70%以上の親が不安視

 スマートフォン/タブレットなど、インターネットに接続された端末を子供が利用することについては、73.3%の親が不安と回答し、子供の40.0%を大きく上回った。特に、小学生(1〜3年生)の母親は、84.5%が不安に感じると答えた。

 不安に感じる内容としては、「長時間使用で依存症になってしまうこと」「偽サイト(フィッシングサイトやショッピングサイト)で騙されてしまうこと」「ネットやアプリを通じて人に騙されてしまうこと」が上位に入る一方、端末利用に不安を感じない理由としては「ネット上のコミュニケーションでトラブルにあったことはないから」「決められたアプリやサイト以外、使わないから」が多く挙げられた。

 また、スマホで使用頻度の高いアプリは、LINEが圧倒的に多く、子供の65.0%が利用していると回答。特に女子高校生では85.3%が利用。現実の友だちとのコミュニケーション手段に絞った場合、92.2%の女子高校生がLINEを利用していると回答した。また、ネットで知り合った友だちとのコミュニケーション手段では、LINEのほかにTwitterが多く使われており、男子高校生では35.0%、女子高校生では59.2%がTwitterを利用すると答えた。

端末機器使用に対する不安を感じる人の割合
端末機器使用に対する不安内容
端末機器使用に不安を感じない理由
使用頻度の高いアプリ
自分自身のコミュニケーション手段(現実の友だち)
自分自身のコミュニケーション手段(ネットで知り合った友だち)


子供をあやすためにスマホ/タブレットを与えている親も

 子供がネット端末を使用するのに最適な年齢はいくつかという質問に対しては、「小学1〜3年生」と考える親が全体で見れば28.2%と最も多かったが、実際にはまだ0〜6歳の自身の子供の年齢で既に持たせたいと考えている傾向も見えた。

 また、ネット端末を子供に使用/所有させた理由としては、「子供にせがまれたから」「子供に知育系コンテンツをさせたかったから」「子供と一緒に遊ぶため」が上位に挙げられたが、小学生(1〜3年生)の子供を持つ親では、「子供と連絡を取りやすくするため」との回答が一番多かった。

 未就学児の母親と父親で傾向が異なり、母親は「自分が他のことで手が離せないから」と「公共の場で静かにさせるため」が比較的多く、子供をあやすための手段として使用/所有させる傾向がうかがえる一方、父親は「子供と一緒に遊ぶため」が一番多かった。

子供の端末機器使用開始の最適年齢
子供に使用・所有させた理由


子供のネット端末利用には「しつけ」が必要

 記者会見では、尚美学園大学の小泉力一教授と、デジタルアーツの工藤陽介氏による、今後の対策やネット接続端末との向き合い方についてトークセッションが行われた。

尚美学園大学の小泉力一氏(芸術情報学部教授)
デジタルアーツ株式会社の工藤陽介氏(経営企画部コンシューマー課)

 工藤氏は、7割の保護者が不安に思いながらネット端末を使わせているが、漠然とした不安ではなく、メリット・デメリット、リスクを把握し、フィルタリングなどリスクを回避するツールを知った上で、幼少期から使わせるのが望ましいのではと述べ、ネット端末に対して親が理解を深める必要を示した。

 小泉氏は、保護者が気を付ける点として、13歳の息子にiPhoneをクリスマスプレゼントとして渡す際に18の約束を結んだ母親の例を挙げ、新しいデバイスを持たせる時に、ルールを守らなければ使えないという「しつけ」を幼少期に行うことが効果的であるとした。

 また、小泉氏は子供のネット端末に関する海外の状況にも触れ、シンガポールでは、国が用意するフィルタリングサービスがあるが、利用するのは任意。教育現場では、ネットいじめも起きているが、対策としては口頭での注意にとどまっているという。韓国でもフィルタリングが用意されているようだが回避する生徒もおり、現状では日本が一番まともではないかと述べた。

(山川 晶之)