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福岡市、福岡で2カ月間住んでみる・働いてみるIT系の人募集、移住を後押し

給与あり・住居も紹介

 福岡市は、IT人材の福岡移住を推進するプロジェクト「ぼくらの福岡クリエイティブキャンプ」を実施すると発表した。市内に拠点を持つデジタルコンテンツ企業やITサービス企業と連携し、デジタルクリエイターやエンジニアなど15名を2カ月間のOJT(実務研修)で受け入れる。福岡市ではIT人材の誘致活動を以前から展開しているが、実際に福岡に住み、市内の企業で働いてみる機会を提供することで、首都圏などからの移住を考えているクリエイター/エンジニアらの背中を押す。

 募集するのはIT分野のクリエイター、エンジニアのほか、デザイナーやディレクターなどを想定。具体的な職種や条件、参加企業などについては、9月3日19時から代官山・蔦谷書店(東京都渋谷区)のDAIKANYAMA T-SITE GARDEN GALLERYで開催するキックオフイベントで説明する予定。あわせて、プロジェクトの公式サイトで参加希望者の登録受付を開始する。キックオフイベントは参加無料だが、サイトからの事前申し込みが必要だ。

 以降、10月・11月にも首都圏などでイベントを開催。参加希望者から登録された情報と企業からの求人情報をマッチングさせた上で参加希望者にOJT先を提案していく。受け入れ企業が決まった参加者から順次、福岡で2カ月間のOJTに就く流れとなる。

「ぼくらの福岡クリエイティブキャンプ」公式サイト

 なお、このプロジェクトへの参加は、あくまでも福岡市内のIT企業に転職することが前提となる。OJT期間終了後はその企業へ正式に入社する原則となっており、OJTはその試用期間という位置付け。キャンプ事務局と参加者との間で短期雇用契約が結ばれ、OJT期間中の給与も支払われる。プロジェクトは「福岡県緊急雇用創出事業臨時特例交付金」を活用したもので、福岡市がOJT参加者の給与を負担する。

 一方、期間中の住居費は参加者が各自で負担するかたちとなる。福岡市では、マンスリー賃貸マンションなどを参加者に紹介できるよう、不動産業者との連携も検討する考えだ。

 キャンプ参加者が定員の15名に達した時点で募集は終了するが、プロジェクトの期間は2015年3月までとなっており、その期間中は人材紹介というかたちで対応していくという。

 福岡市には有力なコンテンツ/IT企業が集積しており、paperboy&co.の創業の地(現在は東京が本社、福岡は支社)であるほか、最近では「妖怪ウォッチ」のヒットでも知られるゲーム会社のレベルファイブも福岡市が本社。さらに、LINEが2016年春をめどに福岡市内に新社屋ビルを建設し、国内第2の拠点を構えることも発表されている。

 また、福岡市によると、同市の人口に占める15~29歳の若者の割合は19.2%。政令指定都市の中では平均の16.5%を上回ってトップ(2010年国勢調査)。大学性の割合は5.3%で、政令指定都市の中で第2位(2011年学校基本調査速報)となっており、若年層の人材が豊富だという。一方で、30代以上の経験者の人材が不足しているといった課題があり、IT人材の福岡移住を促す取り組みを福岡市では展開している。

(永沢 茂)