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米HPが2つに分社へ、企業向け「HP Enterprise」とPC・プリンターの「HP Inc.」

 米Hewlett-Packard(HP)は6日、2つの上場企業へと分社化する方針を発表した。企業向けインフラやソフトウェア、サービスを提供する「Hewlett-Packard Enterprise」と、ビジネス/コンシューマー向けにPC・プリンターを提供する「HP Inc.」という同規模の2社となる。HPのロゴは現状のまま維持する。

 HPは1939年に米国カリフォルニア州パロアルトの今や有名になったガレージで、Bill Hewlett氏とDave Packard氏によって設立された。シリコンバレーの発祥の地としてもよく知られている。75年後に、この会社が2つに分社することとなった。

 分社化は2015年に、株主に対する非課税の株主割当増資によって実施する。この発表を受け、HPの株価は約5%上昇し、市場は好感した模様だ。

 2014年第3四半期の数字をもとに換算すると、新会社のHewlett-Packard Enterpriseは売上584億ドル、営業利益60億ドル、営業利益率10.2%。売上の内訳はエンタープライズ部門が48%、エンタープライズサービス部門が39%、ソフトウェアが7%、金融サービスが6%。

 企業向けにサーバー、ネットワーク、ソフトウェア、ストレージ、サービス、クラウド、コンバージドシステム、さらにはOpenStack Helionクラウドプラットフォームの提供も継続する。

 また、HP Financial Servicesにより、パートナー企業のニーズに応じたテクノロジー、資金調達、新しいビジネスモデルを提供していくとしている。

 CEOには、現HPのCEOであるMeg Whitman氏が就任する。

 一方のHP Inc.は売上572億ドル、営業利益54億ドル、営業利益率9.4%。売上の59%がパーソナルシステム部門、41%がプリンター部門だ。

 ビジネス/コンシューマー双方にデスクトップPC、ノートPC、モバイル、グラフィックス、インクジェット/レーザープリンター、マネージドプリントサービスを提供する。これには複数のOSに対応したデバイス、没入型のコンピューティングエクスピリエンス、3Dプリンターなどが含まれる。

 CEOには、現HPのプリンティング/パーソナルシステム部門のエグゼクティブバイスプレジデントであるDion Weisler氏が就任する。

 なお、Whitman氏はHP Inc.の取締役会長にも就任する。

 分社化に伴うリストラの規模拡大も発表された。HPは当初、リストラ規模を5000人としていたが、その後、4万5000から5万人へと大幅修正していた。今回さらに5000人増やし、5万5000人規模とした。このうちすでに3万6000人がリストラに応じたとしている。

(青木 大我 taiga@scientist.com)