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Facebook、災害時に友達の安否を確認できる「災害時情報センター」

 Facebookは16日、災害時に友達の安否を確認できる新機能「災害時情報センター」の提供を発表した。機能はグローバルで提供され、PCサイト、モバイルサイト、モバイルアプリのいずれからも利用が可能。

Facebookの「災害時情報センター」

 自然災害が発生した際に「災害時情報センター」の機能が有効になると、災害の影響を受けた地域にいると思われるユーザーに対して、Facebookから安否を確認する通知が届く。利用者は、影響を受けた地域内で無事でいる場合には「自分の無事を報告」というボタンをタップすることで、最新情報を示す通知とニュースフィード記事が作成され、Facebook上の友達に安否が報告される。

 影響を受けた地域にいない場合は、「影響を受けた地域にはいません」というボタンを選ぶことで、そのことを改めて示すことができる。また、無事だと分かっているFacebook上の友達がいる場合には、その人の無事を報告することもできる。

災害時にFacebookから安否確認の通知が届く
「自分の無事を報告」ボタンで友達に安否を報告できる

「東日本大震災がきっかけ」ザッカーバーグ氏が東京で新機能を発表

 16日に東京・六本木で開催されたFacebookのパートナーシップイベントには、サプライズゲストとして米Facebook会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が登場。災害時情報センターの提供を発表した。Facebookがグローバルで提供する機能を米国以外で発表するのは、今回が初めてのことだという。

マーク・ザッカーバーグ氏

 ザッカーバーグ氏は、「新機能を東京で発表したのは、日本での経験がこの機能のインスピレーションになっているためだ」として、「東日本大震災の後、我々は多くの人がFacebookで友達の安否を確認していることを知った。自分たちの大切な人、家族や友達が安全であるかどうかを知りたいというのは、根本的な人間の心理だ。最近もカリフォルニアで地震があったが、その際に私の友人たちがまずしたことは、私は無事ですといった報告をすることだった。災害はこれからも起きるだろうが、次に大きな災害が起きた時には、皆さんがFacebookにログインして、自分たちの大切な人たちに自分の安否を報告し、友達の安否も確認できるようにするために、今回の機能を開発した。今回の機能を、最初にインスピレーションを受けた日本で発表できることを嬉しく思う」とコメントした。

 プロダクトマネジメント部門副社長のナオミ・グレイト氏は、東日本大震災の発生を受けて、東京オフィスのエンジニアが開発した「災害用伝言板」が今回の新機能のもとになっており、日本で行った災害用伝言板のテストには、1日で76万3000人が参加するなど大きな反響があったと説明。その後に発生した大きな自然災害の際にもFacebookは利用されており、そうした状況から学んだ内容を反映して、今回、災害時情報センターとして提供するもので、「この機能は使わないで済めばそれに越したことはないが、必要になった時には役に立つことを願っている」と語った。

Facebook東京オフィスのエンジニアが開発した「災害用伝言板」

10年で一番の後悔は「なかなかモバイルに移行しなかったこと」

 イベントでは、成長戦略・アナリティクス部門副社長のハビエル・オリバン氏とザッカーバーグ氏が壇上で対談した。

ザッカーバーグ氏(左)とハビエル・オリバン氏(右)

 「最初にFacebookを作った時はまだ大学生だったので、大学の中の人とつながればいいと思っていた」と創業時を振り返るザッカーバーグ氏は、「しかし、その後は少しクレージーに物事が展開していった」とコメント。「我々は大学の外とつながることは考えていなかったし、すぐに大手の企業がSNSに参入してきて、世界中の人々をつなぐサービスを展開するだろうと思っていたが、そうはならなかった。我々は、人々がつながることが本当に大事だと考えて事業を続けてきた結果、今では世界で10億人以上がつながるようになった。願わくは、このままさらに世界中をつなげていきたい」と語った。

 その上で、大きな課題となっているのは、「世界人口の3分の2にはまだインターネットアクセスの手段がない」ことだとして、こうした人々へのインターネット普及を目指す「Internet.org」の取り組みを紹介。「米国での911(緊急通報番号)のように、人々が必要とする基本的なインターネットサービスは無料で利用できるようにしたい」として、今後10年間はこうした活動に力を入れていきたいとした。

 「創業からこれまでの10年間で、一番後悔していることは」と問われたザッカーバーグ氏は苦笑いしつつ、「なかなかモバイルに移行しなかったこと」とコメント。「これは日本から学んだことでもあるが、日本では常にモバイルが重要で、多くの人がモバイルからFacebookを使っていた」として、2011年から2012年にかけてはFacebookもモバイルに注力するようになったが、それまではFacebookが既に大きな規模になっていたことなどから、新しいプラットフォームへのトライが遅れてしまったとした。

 「モバイルの次の一手」については、「だいたい10年ぐらいで新しいコンピューティングプラットフォームに移行している」として、Facebookが買収したOculus VRが開発したOculus Riftのようなウェアラブルデバイスが、より世界中で使われるようになるだろうという見通しを語った。

(三柳 英樹)