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米Amazonが「Fire Phone」の失敗を実質的に認める、8300万ドル分の在庫残る

 米Amazon.comは、2014年第3四半期(7~9月)決算報告の中で、同社が6月に発表した独自スマートフォン「Fire Phone」に関連する多額の費用を計上したことを明らかにした。実質的にFire Phoneが失敗したことを認めた格好だ。

 決算報告によると、Amazonは9月30日までにFire Phoneに関連して1億7000万ドルの費用を計上。また、Fire Phoneの在庫8300万ドル分を保有していることも明らかにした。これには手持ちの在庫、再販業者が保有する在庫、サプライヤーへのコミットメントで解約不能な物が含まれている。

 技術調査会社のIHS iSuppliの調査により、Fire PhoneのBOMコストは205ドルと推定されている。これをもとにすれば数十万台分のFire Phoneが売れ残った可能性がある。

 なお、Amazonはこれまでに販売された台数を公表していない。

 Fire Phoneは発表時点で、米携帯キャリア大手AT&Tの2年契約価格199ドルで販売されていたが、現在は料金プランにもよるが実質1ドル程度にまで下落している。

 Fire Phoneの「Amazon.com」上のユーザーレビュー数は3000を超えるが、平均値は星2つだ。

 Fire Phoneは、4台のカメラを使ってユーザーの視線を追跡し、画面の中をのぞき込める「Dynamic Perspective」と名付けた斬新な疑似3Dユーザーインターフェイスを備えたほか、カメラで撮影したものを認識してAmazonで購入可能な「Firefly」機能など、技術的には一部で高い評価も得ていた。しかし、実質的にはAmazonで買い物をするためのスマートフォンである割には価格が高すぎるとの評判も多かった。

(青木 大我 taiga@scientist.com)