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ドンキやマツキヨも参画して訪日外国人向け無料Wi-Fi、国内24万カ所で提供へ
「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」プロジェクト発足
(2014/12/11 16:33)
株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)と、訪日外国人観光客をターゲットとしたインバウンドビジネスの活性化を目指す企業・自治体が11日、「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」プロジェクトを発足した。Wi2が提供するWi-Fiスポットへの無料接続機能と国内の観光・施設情報の配信機能を実装した、iOS/Androidスマートフォンアプリ「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」を12月12日より提供する。
参画企業・団体は、Wi2のほか、アクセンチュア、沖縄県、一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー、小田急電鉄株式会社、キャナルシティ博多、京都市、公益財団法人京都文化交流コンベンションビューロー、KDDI株式会社/沖縄セルラー電話株式会社、神戸市、株式会社ジェーシービー、東京都交通局、株式会社ドン・キホーテ、日本航空株式会社、パナソニックインフォメーションシステムズ株式会社、ぴあ株式会社、株式会社ビックカメラ、株式会社マツモトキヨシ。
利用できるWi-Fiスポットは、ベーシックエリア/オプションエリア合わせて24万カ所。ベーシックエリアについては、スターバックスや空港、リムジンバス、京都市、神戸市、小田急など、Wi2と共同で無料Wi-Fiスポットを提供しているエリアが対象となる。ベーシックエリアのスポット数は非公表としているが、これはエリアの整備で数が時々刻々と変わるためとしている。
訪日外国人はTRAVEL JAPAN Wi-Fiアプリをダウンロードし、利用規約に同意することによって、ベーシックエリアに無料で接続可能。Wi-Fiスポットを移動した場合でも自動的に移動先のスポットに接続する。また、参画企業・自治体より配布されるプレミアムコードを登録することで、Wi2のオプションエリアに接続できる。
アプリでは、タイムライン形式のメニュー画面が表示され、現在接続しているWi-Fiスポットのほか、過去に接続したスポットを1カ月前まで記録。スポット付近の周辺情報を表示し、地図アプリと連携することで、近隣施設へのナビゲーション機能も備える。また、参画企業・自治体より、Wi-Fiスポット近隣のレコメンド情報などを配信。日本での滞在をサポートするさまざまな情報を提供する。
なお、TRAVEL JAPAN Wi-Fiは訪日外国人のみを対象としたサービスとなり、日本ユーザーは利用できない。判定は、利用するスマートフォンの情報やSIMなど複数の基準をもとに行うという。理由としては、訪日外国人の“ネットワークファースト”がWi-Fiであり、実際に「無料Wi-Fiのエリアが少ない」「使い勝手が悪い」という声があるという。日本ユーザーの場合、Wi-Fiはあくまでもモバイルネットワークを補完する存在であるため、TRAVEL JAPAN Wi-Fiでは訪日外国人に限定しているという。
行動履歴を用いたビッグデータ解析も
アプリでは、ダウンロード時に情報の利用目的に同意を得た上で、利用者属性や行動経路などの情報取得を行う。参画企業は、アクセンチュアが提供する分析ツール「Ideal Insight」を利用することで、どのような経路で移動したか、どのエリアに旅行客が集中しているかを、Wi-Fiスポットの接続履歴をもとに分析可能。特定の国を抽出したり、同一時間帯で別のエリアを比較することもできる。マーケティング情報として活用することで、各分野での訪日外国人観光客に向けたサービス向上に活かせるとしている。
ビジネスモデルとしては、TRAVEL JAPAN Wi-Fiに賛同したパートナー企業・団体がWi2にWi-Fiプラットフォーム利用料を支払うことで、Wi2からWi-Fiプラットフォーム、Ideal Insightによる分析レポートが提供される。利用者は、行動履歴を提供する代わりに、Wi-Fiスポットを無料で利用できる。また、パートナー企業・団体からは、利用者にレコメンド情報やクーポン、プレミアムコードを提供することで、自社店舗などへの集客や、商品・サービスの購入につなげる。
無料Wi-Fiスポットは、エリアから価値提供のフェーズに移行
12月11日に開催された記者発表会では、Wi2のほか、TRAVEL JAPAN Wi-Fiパートナー企業が狙いなどを語った。
Wi2代表取締役社長の大塚浩司氏は、無料Wi-Fiについてこれまで多くの議論・取り組みがされてきているが、議論の中心は、何処に、誰が構築するかといった“エリアの整備”だったという。TRAVEL JAPAN Wi-Fiでは、エリアの整備を継続しつつ、Wi-Fiネットワークを活用してパートナー企業・団体が最良のおもてなしを提供する“価値提供のフェーズ”に移行したと説明した。
小田急電鉄IT推進部長の後藤真哉氏は、車両内や駅、港などで無料Wi-Fiを提供しているが、新宿をはじめ、箱根や江ノ島などに滞在する外国人観光客からの不満点として、スポット数が少ないことが挙げられていたという。同社では、TRAVEL JAPAN Wi-Fiに参画することで、利便性の向上を図るほか、取得できるデータを活かし、今後の訪日外国人に対するサービスに向けた基礎情報としたいと述べた。
京都文化交流コンベンションビューロー国際観光コンベンション部部長の赤星周平氏は、ユーザビリティの向上のほか、マーケティング強化のためにTRAVEL JAPAN Wi-Fiに参画。パブリックセクターでのプロモーションでは、前例、慣習、勘に頼りがちな部分が多かったが、同プロジェクトの参画で、相手のニーズに沿ったプロモーション企画を立案できると期待を寄せる。また、プラットフォームを活用して、免税店や京都の売りたいものの情報などを適時配信する展開を考えており、プロモーションの高度化を狙うという。
ドン・キホーテの服部将允氏は、同社では早くからインバウンド戦略を進めており、全国261店舗で免税免許を習得。幅広い品ぞろえや、深夜営業をしていることで、年間約550万人の訪日外国人が来店しているという。また、全店舗で独自に無料Wi-Fiを整備しているが、TRAVEL JAPAN Wi-Fiの方向性と合致し、参画することになったとした。