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朝日新聞社、音声合成による記事の読み上げを聴ける無料アプリ「アルキキ」

 株式会社朝日新聞社は6日、無料の音声ニュースアプリ「アルキキ」を公開したと発表した。新聞記事の前文(第1段落)を音声合成技術で読み上げた音声ファイルを配信し、歩きながら、あるいは満員電車の中や運転中でも主要ニュースを把握できるようにしたもの。iOS 8以降とAndroid 4.4以降に対応する。

 朝6時の時点で「朝日新聞」朝刊の記事から約10本を配信。さらに8時の時点で「朝日新聞デジタル」のトップニュースを追加し、合計約15本の記事を7~8分の音声ファイルとして配信する。その後、12時と18時にもそれぞれ朝日新聞デジタルから最大6本の記事を配信する。配信された記事はスマートフォンの画面で一覧表示され、朝日新聞デジタルの該当記事へリンクされている。

 朝日新聞社によると、独自の読み上げ辞書を構築したことで、新聞記事の文章を音声で聞きやすいよう自動的に変換しているという。例えば、記事では「環太平洋経済連携協定(TPP)」と記述されている部分を「TPP・環太平洋経済連携協定」というように略称を先にしたり、「安倍晋太郎内閣総理大臣」を「安倍首相」、日付けの部分を「今日」「昨日」と読み上げるなど、テレビのニュース番組の放送原稿に近い形式に変換する。また、新聞記事のカッコ書きの中の数字を年齢と認識して読み上げるなど、従来のテキスト読み上げソフトとは異なり、読み間違いやアクセントの不自然さがほとんどない、音声合成によるニュース配信を実現したとしている。

 なお、音声合成はアルキキのサーバー側で行われ、人間によるチェックを経た後、スマートフォンアプリに音声ファイルが配信される仕組みとなっている。約15本の音声ニュースで、容量は3MB未満だという。読み上げ速度は、iOS版アプリでは「標準」「ゆっくり」「速く」の3段階で調整可能。Android版アプリでは、読み上げ速度の異なる3本の音声ファイルが配信され、それらを切り替える仕組み。

 アプリ側ではなくサーバー側で音声合成を行うのは、新聞記事の読み上げという性質上、間違いのない正確な読み上げをアプリ側で行うのは難しいと判断したため。また、現時点では記事の本数が限られているが、将来は朝日新聞の全記事の音声ニュース化を想定しているために、人間ではなく、音声合成技術で自動的に読み上げを行うシステムが必要があったとしている。今秋に予定している本格サービス化にあわせて全記事の音声対応を実現するとともに、配信を受ける記事ジャンルをカスタマイズできる機能なども実装したい考えだ。

(永沢 茂)