EU、生体認証データベースが亡命者の効率的管理に寄与と評価


 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は25日、亡命管理システムに用いられる生体認証データベース「EURODAC」に関する報告書を発行した。報告書は2008年の実績をまとめたもので、EURODACが亡命や不法入国者の効率的な管理に功を奏しているとの見方が示されている。

 報告書ではまず、EU外からEU内への不法入国者が急増していると指摘。また、亡命申請者の17.5%は、過去に難民申請や亡命申請をしていたという。EURODACは、指紋などの生体認証に関するデータベースを構築し、加盟国間でデータの相互利用を行うことによって、亡命者の再申請をチェックできる機能を備えている。

 報告書によれば、EURODACは稼働時間のうち99.84%で正常に機能し、そのスピード、セキュリティ、費用、結果は満足いくものだったと指摘。処理件数は21万9557件で、国境を越えようとした6万1945人の指紋を採取し、7万5919件の不法入国をチェックしたという。亡命申請の件数は前年比11.3%増、不法入国の件数は同62.3%増だった。第三国でのデータに基づく不法入国認知件数も17.6%増と顕著な増加を見せた。

 なお、EURODACでは、データ処理に時間がかかり最新の情報の利用ができないことが懸念されており、今後、精度のよい管理のためにも、データ処理の速度向上を検討するとしている。


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(Gana Hiyoshi)

2009/9/28 13:59