凸版、AR(拡張現実)コンテンツなどを表示できる店頭プロモ機器


凸版印刷の情報コミュニケーション事業本部メディア事業開発本部の山岸洋晃本部長

 凸版印刷は28日、商品サンプル配布機能やデジタルサイネージ機能、AR(拡張現実)コンテンツ、商品陳列棚などの複合的な機能を備えた店頭プロモーション機器(通称:プロモーションマシン)を発表した。同社の電子チラシサイト「Shufoo!」と連動した展開を予定。大手流通企業などへの導入を図る。

 「プロモーションマシン」は、自動販売機を2台並べたような大きさ(高さ2283mm×幅2224mm)で、大型スーパーなどの店頭に設置する。本体は、商品サンプルの配布およびARコンテンツを表示する「サンプル部」と、デジタルサイネージを表示するモニタおよび商品を置く棚がある「商品陳列部」を基本構成とする。

 ユーザーは、メーカーの携帯電話向け商品サイトでサンプル会員登録を行い、会員QRコードを取得する。次に、プロモーションマシンのQRコード読み取り部に、QRコードを表示した携帯電話の画面をかざして、会員認証を行う。また、プロモーションマシンにはFeliCaリーダーも備えている。会員認証が済めば、配布中のサンプルから任意の商品を選択して、サンプルを入手する。

 サンプルを入れる箱は、タバコの箱の2倍程度の大きさ(高さ100mm×幅65mm×厚さ40mm)。さらに、その倍のサイズも用意できるという。箱にはマーカーが印刷されており、マーカーをプロモーションマシン上部のカメラに写すことで、ARコンテンツをモニタに表示できる。ARコンテンツには、サンプル箱を実際の商品の映像に変えたり、関連商品を紹介することなどが可能だ。サンプルを入手した会員には、商品に関するアンケートメールを送ることもできる。

 商品陳列部には、上部に32インチ液晶モニタを備えており、そこで番組仕立てのコンテンツの合間に広告を流す。なお、凸版印刷では9月14日に、辻学園グループと協力し、デジタルサイネージ向けのオリジナル料理レシピの動画コンテンツ制作サービスを開始した。これにより、希望するメーカーの商品や食材を使ったレシピをモニタに表示する。当該商品を、プロモーションマシンの商品陳列部で販売することも可能だ。このほか、モニタの上部の顔認識カメラで、デジタルサイネージを見た人の人数などを把握することも可能という。

 「プロモーションマシン」は、3G回線を利用してインターネットに接続できる。デジタルサイネージに表示する動画は、凸版印刷のサーバーから配信し、コンテンツの一元管理が可能という。

プロモーションマシン携帯電話に表示したQRコードを読み取る任意の商品を選択してサンプルを入手

ARコンテンツで商品の詳細情報を表示デジタルサイネージ。上部に効果測定用のカメラ任意の商品を選択してサンプルを入手

 凸版印刷の情報コミュニケーション事業本部メディア事業開発本部の山岸洋晃本部長は、電子チラシサイト「Shufoo!」について説明した。「Shufoo!」にチラシデータを出稿すると、「Shufoo!」のPCサイトだけでなく、ヤフーが提供する「Yahoo!チラシ情報」や、「アクトビラ」などのテレビポータル、携帯電話やWi-Fi機能を持つ携帯ゲーム機などへも同じチラシを配信できることから、「顧客企業は、Shufoo!を複合的なプロモーションツールとしてとらえられている」とした。

 また、山岸氏は、「商品のプロモーションはインターネットや店頭にシフトしている」と話す。インターネット上のプロモーションは「Shufoo!」で実現したが、今後は店頭でのプロモーションも実現するため「プロモーションマシン」を開発するに至ったという。これにより、「1ソースでエリア内に多角的な広告展開を可能にするほか、店頭での商品認知向上や売上アップ、顧客動向の把握が可能になる」と説明。「2008年年末に『みやぎ生協 新田東店』で行った実証実験では、来店者数と売上げが10%以上伸びた」とアピールした。

 「プロモーションマシン」のビジネスモデルは、サンプリング商品の配布費と、商品陳列費(デジタルサイネージの広告配信含む)からなる。1商品1店舗1週間設置した場合のリース価格は、サンプル商品配布、および商品陳列が各25万円から。なお、設置する店舗は、機器の電気料金と設置スペースを負担する。9月28日からサービスを開始し、最短で10月中旬から設置可能という。凸版印刷では当初、首都圏を中心とした大手スーパーやショッピングセンター、家電量販店での利用を見込み、2010年3月末までに50台設置を目標とし、1年後に5億円、3年後に50億円の売上を目指す。


自宅と外、店頭でのPRが可能にプロモーションマシンの特徴イタリアのデザイナーを採用

プロモーションマシンのバリエーションユニットネットワーク型POPサイネージとの連携も可能。各端末に表示する情報は凸版が一元管理駅などの各所に設置されたデジタルサイネージと連携。タッチラリーによるプロモーションも検討

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(野津 誠)

2009/9/28 18:32