RIAJが違法配信対策強化、“アップローダー”も削除要請の対象に


 日本レコード協会(RIAJ)が違法音楽ファイルの削除要請活動を強化している。これまでは主に携帯電話向けサイトを対象としてきたが、2009年11月よりその範囲を動画投稿サイトとオンラインストレージサービス(いわゆる“アップローダー”)にまで拡大した。

 RIAJによれば、違法音楽配信はこれまで、携帯電話向けの掲示板サイトやP2Pファイル共有ソフトを利用する方法が主だったという。しかし、最近ではこれらに加えて、動画投稿サイトやオンラインストレージを悪用した侵害行為が増えていると指摘する。

 動画投稿サイトで違法にアップロードされる音楽ファイルをめぐっては、レコード会社がそれぞれ削除要請を行ってきたというが、違法音楽配信に歯止めをかけるために、RIAJとしても対応に乗り出したかたちだ。

 一方、オンラインストレージサービスでは音楽や映像が違法にアップロードされ、保存先のURLを一覧表示する掲示板が多く存在するという。オンラインストレージサービス事業者の大半は海外だというが、英語の文書を送付して事業者に削除するよう要請している。

“アップローダー”で「オリコンのTOP50」のほとんどが入手可能な状況

 RIAJによれば、ある掲示板サイトでは、オンラインストレージにアップロードされている音楽ファイルの保存先URLを一覧表示しており、「開設日は不明だが、2009年9月までに累計で677万件のアクセスがあったことを確認した」という。

 この掲示板サイト経由でダウンロード可能だった楽曲は約7000曲に上り、発売の1カ月以上前に公開されていた楽曲も2009年10月当時で12曲あったとしている。「このような掲示板では『オリコンのTOP50』のほとんどが入手できる状況だ」。

 なお、RIAJが2009年に行った違法音楽ファイルの削除要請は4万665件(前年比103.1%)。このうち、75%に相当する約3万件は携帯電話向けだったが、この数字は前年比で2割減少したという。違法音楽ファイルを公開する掲示板サイトでは、ユーザーがダウンロードをする際にパスワードを要求するものが主流になり、「違法ファイルの捕捉が困難になった」ためだ。

 パスワードについては、広告をクリックしたり、メールマガジンに登録することなどで入手できるようになっている。RIAJでは「携帯端末を手動で探索」して、違法音楽ファイルの削除要請を行っているという。

 さらに、「違法配信とネット広告が連動している」と指摘するRIAJは2009年7月、広告代理店の団体に違法配信対策の協力を呼びかける文書を送付。その後、違法サイトに掲載されている広告の広告主や広告代理店などにも注意喚起を行っている。


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(増田 覚)

2010/2/19 19:20