Yahoo!ショッピングと中国・タオバオが提携、商品を相互販売


ソフトバンク代表取締役社長/ヤフー会長の孫正義氏(右)とアリババグループ最高経営責任者兼CEOのジャック・マー氏(左)

 ヤフーは10日、中国アリババグループのインターネット通販サイト「淘宝(タオバオ)」と業務提携し、「Yahoo!ショッピング」と「タオバオ」の取り扱い商品を相互取り引きできるサービスを6月1日に開始すると発表した。

 タオバオは、中国最大のネットショッピングサイト。ヤフーとタオバオでは、出品商品データベースなどのAPIを相互提供することにより、両国内に販売代行サイトを構築する。

 日本のユーザー向けには、Yahoo! JAPAN上に購買代行サービス「Yahoo!チャイナモール」を開設。サービス開始時点では、タオバオの約5000万点の商品が購入可能となり、商品数は今後順次増やしていく。

 中国のユーザー向けには、タオバオの中に日本の「Yahoo!ショッピング」の商品を販売する新たなサイト「淘日本(タオジャパン)」を開設。サービス開始時点では、Yahoo!ショッピング出店ストアの商品約800万点が購入可能となり、こちらも商品や販売ストアについては今後順次増やしていく予定。


ソフトバンク代表取締役社長/ヤフー会長の孫正義氏アリババグループ最高経営責任者兼CEOのジャック・マー氏

 タオバオの本社がある中国・杭州で行われた記者会見には、ソフトバンクの代表取締役社長でヤフー会長の孫正義氏が出席。「本当の意味で両グループの相乗効果、シナジーが発揮できる最高の事例で、心から喜んでいる」とコメント。今回のサービスにより、Yahoo!ショッピングとタオバオのユーザーはワンクリックでお互いの商品を購入できるようになり、両国合計で4億5000万製品、顧客数2億5000万人の世界最大のオンラインショッピング市場が誕生すると語った。

 両国の商品が購入できるようになるメリットとしては、「日本のユーザーにとっては、中国の商品をこれまでよりも安く購入できる。我々が調べた範囲では、たとえば高級ウーロン茶は60%安く、iPhoneのケースは80%安く、カシミアのマフラーは85%安く同じ商品を買える。中国の企業にとっては、日本の消費者に直接商品を販売できるチャンスが生まれる」と語った。

 また、「日本企業のうち中国に進出している企業は、現状ではわずか2%。日本企業の97%は従業員数100人未満の中小企業で、中国の進出には人件費などの問題があったが、今回のサービスで日本の企業にとっても、Yahoo!ショッピングに出店するだけで、中国に商品を直接販売できるチャンスが生まれる」と説明した。

 孫氏は、「日中両国の市場間には、言語や決済、高い手数料、通関や配送、複雑な流通といった課題があった。これを解決する、世界最大のオンラインショッピング市場が誕生する。2020年までには、日本と中国の合計が世界最大の経済圏になる。アリババグループとソフトバンクグループは、この経済圏成長に貢献していきたい」と語った。

 アリババグループの最高経営責任者兼CEOであるジャック・マー氏は、「今回のサービスにより、日中の商品を双方のユーザーが購入できるようになる。日本と中国の消費者の交流を促していきたい」と説明。「タオバオは中小企業の手助けをすることを目標としており、今回のサービスで中国の中小企業にもチャンスを提供していきたい」と語った。

 通関にかかる日数や手数料などについては、最終的な調整を行なっている最中で、6月のサービス開始時に日本で行う記者会見で詳細を発表すると説明。孫氏は、「現時点で想定しているサービスとしては、製品が1~2週間で自分の家に直接届く。1万数千円以内の範囲であれば、個人輸入ということで通関手数料はほとんどかからないと聞いている。送料を含めても、これまで日本で中国製品を買うよりも安くなる」とした。


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(三柳 英樹)

2010/5/10 14:41