KDDI研など、回線が細い区間で動的にデータを圧縮・伸長させて通過する技術


 株式会社KDDI研究所と国立大学法人九州工業大学は13日、回線が細い区間でデータを圧縮・伸長する機能を動的に割り当てられるネットワーク技術の実証実験に成功したと発表した。障害や工事などで回線容量が十分に確保できない区間ができた場合でも、重要な通信の品質を守ることができるとしている。

 この技術では、重要な通信で占有できる回線をユーザー間の両端まで動的に設定し、一般の通信と分離。さらに、細い区間の両端に「高機能中継ノード」を動的に割り当て、即座にデータを圧縮・伸長させることで、その区間を通過する仕組み。


KDDI研究所と九州工業大学が実証実験に成功したネットワーク技術の概要(発表資料より)

 KDDI研究所と九州工業大学では、大規模な実証ネットワーク上で細い区間を作り、混雑が発生した状態で、リアルタイム映像を高い品質を維持した状態で伝送できたとしている。一方、従来の方式では、一般の通信と混在してしまい、細い区間でデータが損失。映像が途絶えてしまった。

 細い区間を迂回する従来の技術では、迂回先に通信が殺到しやすく、重要な通信でも品質が守れないこともあった。そのため、高い安全性が求められる遠隔医療などは危険が伴い、実現が難しかったという。KDDI研究所と九州工業大学では、次世代インターネット技術として2015年ごろの実用化を目指して研究・開発を進めていく。


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(永沢 茂)

2010/10/14 17:38