Google Book Searchをめぐる集団訴訟、米連邦地裁が和解修正案を認めず
Google Book Search(Googleブック検索)をめぐる集団訴訟の和解案について、米ニューヨーク州南部連邦地裁は22日、和解案を認めないとの判断を下した。
米国のGoogle Book Searchでは、提携図書館の蔵書をスキャンして検索可能とするサービスを提供しており、著作権の保護期間が終了した書籍については全文の閲覧も可能としている。Googleでは、全文閲覧が可能な書籍の範囲をさらに拡大することを計画しており、これに対して米作家団体のAuthors Guildなどが集団訴訟を提起していた。
2008年10月には、Googleと作家団体などの間で和解に向けた合意が成立。和解案では、著作権保護期間内であっても、絶版または出版されていない書籍については全文閲覧が可能となり、著作権保護期間内の書籍により得られた利益は権利者に還元するとされていた。
一方、当初の和解案には「米国著作権を有するすべての人物が含まれる」とされていたため、著作権に関する国際条約のベルヌ条約により、加盟国で出版された書籍は米国でも著作権が発生。日本を含む世界各国の著作者にもこの和解案が影響することとなった。和解の管理組織では、各国の権利者に対して和解に参加しない場合にはその旨を連絡するよう求めたが、各国からは異議や反発が相次ぎ、米司法省も和解案を承認すべきでないとする意見を表明した。
こうした状況を受け、Googleと作家団体などは2009年11月に和解の修正案を発表。修正案では、和解の対象となる範囲を米国、英国、オーストラリア、カナダの4カ国に限定するなどし、司法当局の判断を求めていた。
米ニューヨーク州南部連邦地裁のDenny Chin判事は、書籍をスキャンして検索可能とするサービスがユーザーに利便性をもたらすことについては評価しながらも、権利者の許諾を得ずにこうしたサービスの展開が可能となる和解修正案は公正ではなく、不十分で妥当性を欠くものだとして、和解案を認めないと結論付けた。また、各国の権利者や競争企業などから寄せられた和解案への反対意見を挙げ、和解案への参加をオプトアウト方式(非参加の場合に連絡)からオプトイン方式(参加する場合に連絡)に変更することで、反対意見で指摘されている点は改善できるとする意見を表明している。
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(三柳 英樹)
2011/3/23 19:17
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