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「Google Book Search」訴訟で米出版業界と和解合意


 米Google、Authors Guild、Association of American Publishers(AAP)の3者は28日、「Google Book Search」に関連してこれら関係者の間で争われていた訴訟において和解合意が成立したと発表した。

 和解合意によって、著作者とAuthors Guildによる集団訴訟、5大出版社がAAPを代表として起こした5つの個別の訴訟が終結に向かうことになる。ただし、正式に和解合意が成立するためには連邦判事による合意が必要だ。また、一般的な集団訴訟と同じく、個別の参加者が和解合意に賛同しないことも可能だ。

 今回の合意では、著作権者の権利と利益を認め、インターネット上で知的所有権をコントロールするための効果的な方法を与えると同時に、インターネットからの著作物へのアクセスに対して適切な報酬を提供することを主な目的としている。

 米国内ではこの合意により、絶版となった書籍を含む、著作権保護期間内にある書籍へのアクセスが広がることになる。これには、書籍の一部をプレビューできるだけでなく、インターネットから書籍全体にアクセスする権利を販売するという新たな販売手法の導入も含まれる。

 また、絶版書籍にアクセスするサービスも一般に提供されることになった。これは米国の一部の公立図書館と大学図書館で提供され、絶版書籍の全文を無料で見られるようになる。特に印刷サービスを提供している図書館では、ページ課金で有料印刷も行える。この印刷費用の徴収はGoogleが行うが、その費用が300万ドルに達するか、あるいは5年間が経過するまでは、発生する費用をGoogleが負担する。

 なお、パブリックドメインとなった書籍に関しては、これまで通りインターネットで全文にアクセスでき、PDFでダウンロードできることに変わりはない。

 また、Googleは総額1億2500万ドルを支払い、「Book Rights Registry」を設立する。この組織は、著作者や出版社などとの訴訟解決などを行うための独立した非営利組織だ。著作権者を探し出し、正確な著作権者の情報の収集と管理作業を行い、著作権者がプロジェクトへの参加・不参加を決めるための手段も提供することになる。

 なお、今回の和解合意は米国内の裁判に関連して成立したものであるため、米国外には適用されない。したがって、米国外で提供されるGoogle Book Searchのサービス内容に変更はないとされている。


関連情報

URL
  「Google ブック検索和解契約」専用サイト
  http://books.google.com/googlebooks/agreement/index.html
  Authors Guildによるニュースリリース(英文)
  http://authorsguild.org/advocacy/articles/member-alert-google.html
  Association of American Publishersによるニュースリリース(英文)
  http://www.publishers.org/main/Copyright/CopyKey/copyKey_01_03.htm
  米Googleによるニュースリリース(英文)
  http://www.google.com/intl/en/press/pressrel/20081027_booksearchagreement.html
  米Google公式ブログの該当記事(英文)
  http://googleblog.blogspot.com/2008/10/new-chapter-for-google-book-search.html

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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/10/29 13:42

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