気象庁が緊急地震速報の誤発表の原因を分析、今後も続く可能性


 緊急地震速報が適切に発表できていない事例が続いたことを受けて気象庁は29日、地震の観測手法に問題があることを明らかにした。観測手法の改善には数カ月以上かかるため、今後も震度の予想に大きな誤差が生じる恐れがあるとしている。

 気象庁は原因について、(1)異なる場所でほぼ同時に発生した複数の地震を1つの地震として処理したため、(2)停電や通信回線の途絶のために緊急地震速報のデータ処理に使用できる地震計の数が減少したため――という2つに分けられると指摘。

 (1)については、時間的・空間的に近接して発生する2つの地震を正しく分離して処理するための手法を改善する必要があるが、それには数カ月以上の期間を要する見込み。このため、当面は適切でない震度が発表される可能性があるとみている。

 (2)については、観測点の復旧に努めた結果、現在ではほぼ東北地方太平洋沖地震発生以前の状況に回復したと説明。今後も、地震観測点の停電・回線途絶対策の強化に努めていくとしている。

 震度の予想は外れているものの気象庁では、最大震度6強以上を観測した11日の東北地方太平洋沖地震、12日の長野県北部の地震、15日の静岡県東部の地震については、緊急地震速報を強い揺れが発生した地域に発表している。

 また、東北地方太平洋沖地震以降に発生した45件の地震のうち、15件は概ね適切に緊急地震速報を発表していると説明。こうしたことから、今後も緊急地震速報が発表された場合には、身を守る行動を取るよう呼びかけている。


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(増田 覚)

2011/3/30 18:22