テーマは“ササる”、みんなのBest3で作るランキングサイト「ベストマニア」


Best3の作成画面

 「R25」「ゼクシィ」「ホットペッパー」を生んだリクルートの新規事業提案制度「New RING」で昨年グランプリを受賞し、2011年4月に設立された株式会社エモーチオは10月4日、ユーザーがオススメするモノ・サービスの“Best3”を投稿・検索できるサービス「bestmania(ベストマニア)」を公開した。利用は無料。

 「本・マンガ」「音楽」「映画・DVD」「ゲーム」の4つのジャンルに関するオススメ情報について、ユーザー同士でランキングを作成できる。例えば本・マンガは「書いてあることを真似したくなる」、映画・DVDは「とにかく1人、部屋で思いっきり泣きたい時に観る感動モノ」など、独自のお題でBest3を投稿・検索することが可能だ。

 サイトのテーマは“ササる!”。明確で鋭い切り口を持ったテーマや話題などが、狙った相手の心をピンポイントで射抜くという意味だ。サイト内には「ササった!」ボタンを設置し、ボタンが押された回数に応じてそのコンテンツへの共感度がわかるようになっている。ササった数は、サイト上の表示順位(ランキング)を決める要素となる。

「雑誌の特集」からインスピレーション

Best3のイメージ

 エモーチオ代表取締役の林晃佑氏は、Bestmaniaの最大の特徴について「ピンポイントに相手のニーズに応える情報を整理されたかたちで大量に提供すること」と説明する。サービスを開発するに当たっては、「雑誌の特集」からインスピレーションを得たと振り返る。

 「例えば、雑誌では『夏はゆかたで夜デート』や『泣ける映画』といった特集を展開している。これらはニッチな情報ではあるが、ササる人は必ずいる。今求められているのは、平たい情報ではなく、濃くて狭くて価値のある情報。これらをウェブ上で実現することで、多くの人の関心を集めていきたい。」

 エモーチオでは英語圏や中国語圏でのサービス展開も視野に入れている。今後はテレビや雑誌などウェブ以外のメディアへの露出を積極的に図り、5年間で1000万コンテンツ、月間1億ユニークユーザーを目指す。1年目は日本国内で50万コンテンツを目標に掲げる。売上目標は非公表、収益元はAmazon.co.jpなどのアフィリエイト広告の紹介料を見込んでいる。

「コンテクスト」で既存のキュレーションサービスと差別化図る

左からデーブ・スペクターさん、原幹恵さん、エモーチオ代表取締役の林晃佑氏

 なお、Bestmaniaのように、特定のテーマに基づいて情報を収集・編集して共有するサービスは「キュレーション」と言われる。日本ではネイバージャパンの「NAVERまとめ」やロケットスタートの「nanapi」のほか、9月28日にはヤフーが「Yahoo!くくる」を開始したばかりだ。

 既存のキュレーションサービスとの違いとしては、オススメ情報がBest3形式で紹介されていることに加え、コンテンツに「コンテクスト(文脈)」を付けてまとめることが挙げられるという。コンテクストとはターゲットが明確で、シーンやシチュエーションが指定されていること。これにより、「ササる」コンテンツが生み出されるというわけだ。

 「既存のキュレーションサービスは、さまざまなコンテンツを投稿するため“読み物”のような感覚がある。これに対してBestmaniaはBest3を投稿するだけなので、サービスを利用する際の敷居が低い。モノやサービスをオススメするだけでなく、これらの購買にまでつながるのも特徴だ。」(林氏)

 エモーチオではサイトオープンを記念し、絶妙かつ鋭い切り口で多くの人の心をつかんでいる有名人3人を「ベストササリスト」として認定。「ササる!トーク部門」には河本準一さん、「ササる!モテ部門」には原幹恵さん、「ササる!マルチマニア部門」にはデーブ・スペクターさんが選ばれた。

 4日に開かれた記者会見では原さんとデーブさんが登場。原さんは「魅せる悩殺グラビアポーズBest3」、デーブさんは「下積み時代のスターが出演する映画Best3」といった独自のBest3を披露した。


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(増田 覚)

2011/10/4 17:04