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「CEATEC 2025」開催内容発表、AIから大阪・関西万博のレガシーまで多彩なコンファレンスを予定

10月14日~17日に幕張メッセにて開催

 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、2025年10月14日~17日までの4日間、千葉県千葉市の幕張メッセで開催する「CEATEC 2025」に関する最新の開催内容などについて説明を行った。

 開催テーマとして「Innovation for All」を掲げ、開催趣旨は「経済発展と社会課題の解決を両立するSociety 5.0の実現を目指し、あらゆる産業・業種の人と、技術、情報が集い、共創によって未来を描く」ことを打ち出している。幕張メッセのホール1からホール6までを使用して開催される。

 なお、10月1日〜31日の間は、オンラインコンファレンスが公開される。

CEATEC エグゼクティブプロデューサー 鹿野清氏

多彩な展示とコンファレンスプログラムを実施

 CEATEC エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は、「昨年同様に、800を超える企業・団体が出展し、その半数近くがAI関連の展示を予定している。また、企画展示として、AXパーク、パートナーズ&グローバルパーク、ネクストジェネレーションパークの3つのパークを用意。総数で180を超える多彩なコンファレンスプログラムも実施する。会期中は、10万人以上の来場者を目指す」と述べた。

 ホール1~3までは、一般展示となるGeneral exhibitsとして使用。ホール4~6までを企画展示エリアとする。

AX(AI Transformation)パーク:「AIを具体的に体験してもらえるエリア」

 企画展示のひとつである「AX(AI Transformation)パーク」は、AIで世界を変えていく最前線に立つ企業や団体とともに、これからの未来社会や最新技術、ソリューションを発信するエリアになる。

 企業だけでなく、研究機関からスタートアップ企業まで、約30社の多様な出展社が参加。AIの最新技術と、社会実装の取り組みを紹介する。また、特設ステージでは、生成AIや産業AIなど、幅広い分野のセッションを連日開催する。展示とプレゼンテーションを通じて、AIの現在地と未来を体感できるという。

 「AIエージェントの登場によって変化する企業でのAI活用の様子だけでなく、生活のなかで、AIをどう利用するのかといったこと、AIの広がりを支える日本が得意なデバイスなども見てもらえる。AIの具体的な内容を体験してもらえるエリアとなる。CEATEC 2025において、最も大きなトピックスになる」と位置づけた。

AX(AI Transformation)パーク

パートナーズ&グローバルパーク:「海洋」から「暮らしのDX」「海外」まで

 「パートナーズ&グローバルパーク」は、出展社が独自テーマを設定し、あらゆる産業や業種のパートナーとともに、Society 5.0の未来社会を体現する「共創」エリアと位置づけている。

 「これまで分かれていた国内外の共創の場をひとつにした」という。

 「Society 5.0」の実現を目指して、14の独自テーマを設定したパビリオンを出展。「海洋デジタル社会パビリオン」や「暮らしのDXパビリオン」などが予定されている。

 暮らしのDXパビリオンでは、13社が出展し、IoT、AI、ネットワーク技術の進化により、子育て世代や高齢者、単身者など、さまざまなライフスタイルに合わせたサービスのほか、スマートホームによる便利で快適、安全な暮らしの将来像をテーマに展示する。海洋デジタル社会パビリオンでは、「デジタルが紡ぐ海の未来」をテーマに、海洋産業へのデジタル技術の活用や、次世代人材の育成、環境問題や食料自給といった海洋が抱える課題解決への挑戦を共有し、海の豊かさを守る未来像を描く。

 「これまではあまり体感できなかったスマートホームの現状や、最後のDXエリアとなる海洋分野でのデジタル技術の活用を目の当たりにできる」という。

 さらに、海外からの出展では、EU各国とカナダのオンタリオ州、ラトビア、インド、ウクライナ、ウズベキスタンがブースを構えて、最先端技術や革新的なソリューションを発信する予定だ。

 「大阪・関西万博への出展が忙しいという背景もあり、例年出展している国や地域からの出展が少なくなっている。だが、ラトビアやウズベキスタンのほか、戦禍にあるウクライナも3年連続で出展する。ITに関する優れた技術を持つ国であり、ぜひ注目してほしい」と述べた。

パートナーズ&グローバルパーク

ネクストジェネレーションパーク:100以上のスタートアップや大学などが出展

 「ネクストジェネレーションパーク」は、次世代を担う新進気鋭の企業や教育機関が、テクノロジーと研究成果を披露するエリアとなっている。

 100以上のスタートアップ企業や大学研究機関、企業内新規事業開発部門が出展。

 新たにトークステージを設置し、共創パートナーやスポンサー企業などとともに来場者に向けて広く訴求する。また、マッチング支援企画として、それぞれの来場者が持つ課題に適したスタートアップ企業などを、アビームコンサルティングが選定、案内し、マッチングを支援する「共創体験ツアー」、アビームコンサルティングの共創ノウハウを活用したAIエージェントが、CEATEC出展企業との共創を支援する「共創アイデア生成 AIエージェント」も用意する。「実際にビジネスにつながる議論を進めることができる場になる」という。

ネクストジェネレーションパーク

 CEATECでは、JEITA半導体部会が「半導体産業人生ゲーム」を毎年展示して話題を集めている。この展示の背景について、「産業界として直面している大きな課題が、半導体エンジニア不足である。CEATECとして、そこにどんな貢献ができるのかを考えている。昨年のCEATECでは、約8000人の学生が来場しており、そうした学生に興味を持ってもらう狙いがある」と説明し、今年の展示については、これから検討していくとした。

「CEATECは変わったな」と実感してもらえるコンファレンスを用意

 一方、業界をリードする企業や有識者によるセッションのほか、注目テーマを多角的に掘り下げるパネルディスカッション、出展者による技術紹介や導入事例のプレゼンテーションなども予定。CEATEC 2025の特徴のひとつとなっている。「CEATECは変わったなということを、実感してもらえるコンファレンスを用意している」と自信をみせる。

初日のテーマはAI、サステナビリティ、地方創生2.0、オール光ネットワーク

 開催初日の10月14日には、オープニングセッションとして、「AI」「サステナビリティ」「地方創生2.0」、「オール光ネットワーク」などの最新トレンドに関するセッションを用意。さらに、「AIエージェント産業革命と日本のポテンシャル」と題して、モビリティ、IoT、アニメ制作、コールセンターといった各領域で、AI活用を牽引するキーパーソンが実例を交えて展望を語るという。アニメ「攻殻機動隊」に関わっているサラマンダーの櫻井大樹CEOも参加し、「より身近になったAIを感じてもらえる」という。

AIエージェント産業革命と日本のポテンシャル

 また、「サステナブルな社会の実現に向けて」と題したパネルディスカッションでは、本田技研工業の三部敏宏社長、三菱電機の漆間啓社長 CEO、エレファンテックの清水信哉社長などが登壇する。

サステナブルな社会の実現に向けて

 そのほか、「地方創生2.0 強い経済、豊かな生活環境、新しい日本・楽しい日本」と題した講演では、内閣官房、総務省、経済産業省、国土交通省、デジタル庁などから関係者が登壇。2025年6月に閣議決定された「地方創生2.0基本構想」の動きを捉えながら、「地方創生2.0」によって目指す姿となる「強く」、「豊か」で「新しい・楽しい」地方や日本の実現に向けた各省庁の施策を紹介し、今後の展望について議論する。

地方創生2.0 強い経済、豊かな生活環境、新しい日本・楽しい日本

最終日には「万博レガシー」のセッションも

 さらに、10月15日には、「5G/6G」「スマートホーム」「産業データスペース」などに関する事例紹介や、将来の展望に関するセッションを予定しているほか、10月16日には、「ダイバーシティ」「海洋DX」「グリーン×デジタル」などの最新トレンドに関するセッションを予定。

 また、10月17日には、大阪・関西万博の「万博レガシー」に関するセッションを準備しており、大阪府の吉村洋文知事の講演が決定している。

大阪・関西万博の「万博レガシー」に関するセッションでは、大阪府の吉村洋文知事が講演

 CEATEC AWARD 2025では、新たにモビリティ部門を新設。日本自動車工業会が、2025年10月30日から開催する「Japan Mobility Show」に出展するスタートアップ企業を対象に表彰することになるという。「日本自動車工業会とは、今後も継続的に連携をしていきたい」としている。

「デジタルイノベーションの総合展」のCEATECで共創の場を体験

 CEATECは、今年で26回目を迎える。

 1990年代に、CEATECの前身となる日本電子工業展やエレクトロニクスショーがスタート。2000年にエレクトロニクスショーとCOM JAPANが統合して、CEATECがスタートした。2016年からは、CPS/IoTを実現する電子部品、デバイス、ソリューション、サービスを含む総合展へ進化してきた。

 そして、2024年には、日本自動車工業会が主催する「Japan Mobility Show(旧東京モーターショー) Bizweek 2024」と併催し、過去3番目となる808社/団体が出展し、11万2014人が来場。そのうち、188社のスタートアップ企業や大学研究機関が出展し、新たな展開を開始している。

 コロナ禍で落ち込んだ来場者数も回復基調にあるのに加えて、来場者の半分以上が4時間を超えて会場に滞在し、説明を聞いている傾向も明らかになっている。

 CEATECが積み重ねてきた25年の歴史について、「25年の歴史を積み重ねたことによって、日本を代表するイノベーターによる出展が行われ、イノベーターといわれる人たちが来場している。それぞれが共創し、新たな技術、製品、サービス、ソリューションを生み出す場として成長してきた。そして、IT産業、エレクトニクス産業に留まらず、日本の様々な産業界の人たちが来場している。ほぼすべての産業界をカバーできる展示会でもある」とした。

 CEATECについては、「デジタル産業を支える人たちとデジタル技術を活用する人たちが一堂に会し、デジタル技術の発展ならびに社会実装はもとより、デジタル技術に親しみ、学び、共創する場を提供することで、社会を豊かにすることを目指す『デジタルイノベーションの総合展』である。実生活に近い未来の体験、産業界でのAI活用の体験、そして、暮らしのDXも体験してもらいたい。」とした。

 また、今回のCEATECでは、「アプリケーションを利用して、家電メーカーの横のつながりを生むといった実体験もできる。ぜひ『CEATEC体験』をしてほしい」とし、「これからは、1日だけの来場ではなく、2日間、3日間と会場に来てもらい、共創の場を体験してほしい」と述べた。