ニュース
「CEATEC 2025は大阪万博が示す未来像との連携を強化」、JEITAが新年賀詞交歓会
2025年1月8日 10:15
デジタルイノベーションは社会との調和が強く求められる時代に
挨拶したJEITAの津賀一宏会長(パナソニックホールディングス会長)は、「2024年は、AIの利活用が大きな進展を見せ、私たちの暮らしや産業のあり方を大きく変える年となった。その一方で、デジタル技術の進化と社会との調和に関する課題や、地政学的なリスクを背景としたサプライチェーンの安定化、強靭化の必要性も浮き彫りになった」と振り返りながら、「昨年、JEITAが開催したCEATEC 2024では、日本自動車工業会が主催するJAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024との併催が実現し、モビリティ産業とデジタル産業がタッグを組んだことに対して、大きな関心が寄せられた。2025年もさまざまな産業と連携して、社会課題の解決と、新たな価値の創出に向けた取り組みを、より加速させていきたいと考えている。とくに、大阪・関西万博の会期に続いて開催するCEATEC 2025では、万博で示される未来像との連携を強化し、私たちの技術がどのように社会や生活を変えることができるかを、具体的に示したい」と抱負を述べた。
大阪・関西万博についても言及し、「世界各地からの叡智が結集する一大イベントになる。『いのち輝く未来社会のデザイン』をテーマに掲げ、未来を見据えた革新的な技術やアイデアが、世界中から集まる場になる。デジタル技術を駆使した未来社会の姿が国内外に発信されることで、デジタル産業の価値や重要性が一層認知される機会になるだろう」と期待を寄せた。
さらに、「デジタルイノベーションは、社会生活への浸透により、技術的な進化だけでなく、社会との調和が強く求められる時代に入ってきた。この課題に対応するためには、業界全体での協力はもちろん、業界を超えた連携や、国際的な協調が必要不可欠となる。我々のさまざまな活動を通じて、持続可能な未来社会を築くための道筋を、一緒に描いていきたい。JEITAの活動への積極的な参加と支援をお願いしたい」と語った。
さらなる設備投資・研究開発投資に期待し、政府は支援強化
来賓として挨拶した経済産業省の武藤容治大臣は、「2024年は30年ぶりの高水準の賃上げや設備投資、史上最高水準の株価、名目GDPで600兆円を超えるなど、明るいニュースが聞かれた1年であった。しかし、消費の力強さを欠いており、賃上げにもばらつきがある。地域の中堅中小企業を含めて、継続的な賃上げを実現し、好循環につなげることができるのか-。2025年は、その正念場を迎えることになる」と、今年の見通しを示した。
JEITAの会員企業各社に対しては「賃上げや設備投資、価格転嫁などの面で、積極的な取り組みをお願いしたい」とする一方、「昨年は、半導体やAIの分野で新たな政策展開を打ち出した。とくに、デジタル化の進展や生成AIの急拡大のなかで、半導体はあらゆる産業を支える基盤になると考えている。半導体工場の立地は地域経済に大きな波及効果をもたらし、地域創生の観点からも期待が高まっている。日本の半導体産業が、世界との競争に勝ち抜き、国内への供給体制を強固なものにする上でも政府の支援が欠かせない。政府では、半導体やAIに対して、2030年度までに10兆円以上の公的支援を行う新たな枠組みを発表し、複数年に渡って大規模な投資支援を行うことになる。さらに、次世代半導体に対して、国からの技術支援を可能にする法案を通常国会に提出する予定である。また、脱炭素化と連動したデジタル産業の集積の方向性も示している。政府は半導体に対して、最大限の支援を行う考えである。同様に、JEITA会員企業も、意欲的な設備投資および研究開発投資を行ってもらいたい。一方で、今年は米国で新政権が誕生する。日本の国益に資する形で、日米の経済関係を一層発展させていきたい」と語った。
さらに、「2025年の干支は、乙巳(きのとみ)である。きのとは、新たな芽吹きや成長の始まりであり、みは、脱皮を繰り返して成長することから、再生を象徴する。日本経済についても、芽吹き始めた明るい状況を育て、30年に渡る停滞から脱し、新しく再生する1年になることを祈念する」と述べた。
変化が加速する中、技術に磨きをかけ、未来づくりに貢献を
乾杯の音頭をとったJEITAの漆間啓筆頭副会長(三菱電機 社長 CEO)は、「産業、業種を問わず、あらゆる分野で、デジタル技術による社会課題の解決が期待されており、その実現を担うのは、まさに我々であるという思いを強くしている」と切り出し、「世界全体で不確実性が増し、変化のスピードが加速している。変革の礎となるDX人財の育成や拡充に加えて、生成AI、データ連携、6Gなどの取り組みを推進し、日本が誇る技術開発に磨きをかけ、未来づくりに貢献していかなくてはならない」と述べた。
また、「2025年は、暮らしや産業が、大きな変化の真っ只中にある。その年に、大阪・関西万博が開催され、世界中から人々が集い、多様なアイデアや技術を披露することになる。デジタル産業にとって、例年以上に国内外に存在感を示すチャンスに溢れている。変革の時代にあるいまだからこそ、人と人とのつながりは、より一層大切になる。さらによい社会、よい暮らしを実現できるよう、共に汗をかいて行こう」と呼びかけた。