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「Society 5.0の実現に向け一丸に」、JEITAが2024年新年賀詞交歓会

新年賀詞交歓会で挨拶するJEITA小島啓二会長(日立製作所社長兼CEO)

 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、2024年1月9日、東京・芝公園の東京プリンスホテルにおいて、2024年新年賀詞交歓会を開催した。

 デジタル産業の経営トップをはじめ、約700人が参加。開会の挨拶に先立ち、1月1日に発生した能登半島地震の犠牲者への黙とうを捧げるとともに、乾杯は行わないというかたちで賀詞交歓会が進められた。

Society 5.0の実現に向けて

小島啓二会長

 JEITAの小島啓二会長(日立製作所社長兼CEO)は、挨拶の冒頭にて「能登半島地震ならびに羽田空港航空機事故で、亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された全ての方々に心からお見舞いを申し上げる」と述べた。

 「デジタル化の動きは世界各国でさらに進んでおり、電子情報産業の世界生産額は最高値を更新する見通しである。生成AIが重要なブレークスルーとなり、デジタル技術の社会実装が、今後、ますます広がっていくものと期待される。デジタル技術を、社会や経済のあらゆる場面で活用することが、気候変動や少子高齢化などの重要な社会課題を解決しつつ、経済成長を実現するのに不可欠な時代となった。JEITAの参加企業が担う半導体、電子部品、電子機器、ソフトウェアなどは、いずれも社会のデジタル化の鍵を握る重要な製品である。JEITAは、これらの製品の開発や応用展開がやりやすくなるような事業環境の整備に注力をすることで、会員企業の事業拡大に貢献していく」と述べ、「2024年も、デジタル産業界の発展、社会課題解決と経済成長を両立するSociety 5.0の実現に向けて、関係省庁や関係機関の支援と協力を得ながら、会員一丸となって取り組んでいく」と、小島氏は年初の抱負を語り、Society 5.0の実現に向けて取り組む姿勢を示した。

会員企業の災害対応協力に謝意、コストカット経済からの脱却へ

岩田和親氏(経済産業副大臣)

 来賓の挨拶を行う予定であった経済産業省の齋藤健大臣が、能登半島地震の非常災害対策の陣頭指揮を執っていることから、会場には岩田和親副大臣が訪れ、メッセージを代読。「能登半島地震において亡くなられた方に心からご冥福を祈るとともに、被災した全ての人にお見舞いを申し上げる。経済産業省では、人命第一の原則のもとに、電力・石油・ガスのエネルギーインフラの復旧、暖房器具や灯油などの経済産業省が所管する物資のプッシュ型支援の実施、コンビニなどからの支援物資の供給強化、中小企業や小規模事業者の資金繰り支援の強化などに緊張感を持って取り組んでいる。エレクトロニクス業界においても、設備の損傷や工場の稼働が停止するといった損害が発生していると聞くが、すでにJEITA会員企業各社からは協力を得ており、感謝をしたい。総力をあげて災害対応に取り組んでいく」とした。

 また、「長年続いた経済構造から、新たな経済構造に変わる千載一遇のチャンスを迎えている。賃上げや設備投資が30年ぶりの高水準になり、潮目を迎えている。変化の兆しを逃すことなく、コストカット経済から、投資も、賃金も、物価も伸びていく成長型経済への転換を実現しなくてはならない。政府は17兆円規模の経済対策と、戦略分野での税額控除を盛り込んだ税制改正などを行った。経済産業の新機軸を強力に進めているところであり、国内投資を強力に後押しする国内投資促進パッケージもまとめている。日本経済の潜在成長率を引き上げていく。ぜひ大胆な投資を進めてほしい」と述べた。

 さらに、半導体・デジタル産業戦略を改訂し、令和5年度補正予算や令和6年度の予算内において、半導体およびAI関連で総額2兆円、蓄電池で5000億円の予算措置を講じたことなどに触れたほか、賃上げに向けた各種施策や成長分野の労働力移動に向けたリスキンリング支援などの施策などについても紹介。最後に、「今年は元日から、厳しい試練と困難を迎えたが、一致協力し、これを乗り越えて、繁栄を掴み取ることを決意したい」と締めくくった。

生成AIの普及にはリスクマネジメントも重要、共創の精神で開発をリードする

JEITA筆頭副会長の津賀一宏氏(パナソニックホールディングス会長)
懇親する経営トップ

 JEITAの筆頭副会長である津賀一宏氏(パナソニックホールディングス会長)は、例年ならば、乾杯の音頭をとる予定であったが、開会の挨拶に変更された。

 津賀筆頭副会長は、「能登半島を中心に大きな地震が発生し、翌日には羽田空港において 痛ましい事故が発生した。お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りし、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げ、1日も早い復旧をお祈りする」と述べた。その上で、「年頭から厳しい出来事が続いたが、年末には、明るく、進化した、よい年だったと言えるように、力を合わせて、共創の心で、努力していきたい」と述べた。

 また、「デジタルイノベーションによって、社会課題の解決を図ることが期待されている。それを実行するのはわれわれである。ここにいる方々は、そういう思いを持っているはずだ」と切り出し、「2023年の新語・流行語大賞は『アレ(A.R.E.)』であったが、トップテンのなかには『生成AI』が入った。これは画期的なことである。生成AIの登場で、誰もが、AI をより気軽に使える時代が近づきつつあり、AIの急速な社会実装が進もうとしている。利便性だけでなく、リスクをマネージできれば、社会課題解決のみならず、ウェルビーイングな社会の実現にも、AIの力が活用できると期待している。だが、これで社会が簡単には変わるわけではない。多くのハードルを越える必要がある。それを実現するのは共創の力である」と語った。

 さらに、「CEATECでは、デジタル技術の社会実装に向けて、共創のきっかけ作りを進めてきた。今年は、CEATECが25周年の記念開催を迎えることになる。デジタルイノベーションによって、社会がどう変化するのか、そのためにそれをどう推進していくのかといったことを発信する場にしたい」と語った。