「LinkedIn」日本語サイト開設、ビジネス特化で既存SNSと差別化図る


 ビジネスに特化したSNS「LinkedIn」の日本語サイトが20日、公開された。東京・渋谷にリンクトイン・ジャパン株式会社を設立し、サービスの普及やユーザーの登録促進、製品開発、戦略パートナー開拓を中心に日本での活動を行っていく。

 LinkedInは、2002年に創業者のReid Hoffmanが自宅で開発したサービス。ビジネスに特化したSNSとしては世界最大手。200カ国で1億2000万人がユーザーが登録しており、現在は1秒に2人のペースで増え続けているという。

 利用は無料。LinkedInのプロフィールに職歴や学歴、スキルなどを登録して公開することで、仕事に基づいた人脈を構築したり、キャリアアップのきっかけとなるという。これらのプロフィール情報はネットの検索結果にも反映されるようになっている。

LinkedInが提供する付加価値について「コンタクト」に登録したユーザーの更新情報は「プロフェッショナルダッシュボード」と呼ばれる画面に表示される

履歴書代わりとしても使えるSNS

 Facebookなどとの大きな違いは、ビジネスに特化したプロフィールを登録できることだ。例えば、氏名や性別、生年月日などのプロフィール情報に加えて、職務経歴や学歴、専門分野などを詳細に記載できるなど、履歴書代わりとしても使える。

 ボランティア経験や社外の活動も登録できるため、履歴書ではわからない“人となり”も見えてくるのも特徴だ。他のユーザーに自分の紹介文を書いてもらうように要請する機能もあり、紹介文はプロフィールページに掲載できる。

 LinkedIn上で知り合いや興味を持ったユーザーを見つけた場合は、「コンタクトに追加」ボタンをクリックして承認されれば、自分とつながりのある人として「コンタクト」に登録される。コンタクトに登録したユーザーの更新情報は、Twitterのタイムラインのようなかたちで自分のページに表示される。

 その後は、コンタクトのネットワークを通じて人脈を広げたり、仕事のアドバイスやアイデアを交換できる。コンタクトに登録しているユーザーを別のユーザーに紹介したり、興味のあるユーザーを自分が紹介してもらう機能もある。

 ユーザーが特定のトピックをもとにコミュニティを形成する「LinkedInグループ」機能では、共通のトピックに関心のあるユーザー同士で情報を交換したり、議論を行える。LinkedInグループは現時点で100万以上あり、ユーザーが自由に作成できる。

コンタクトに登録しているユーザーを別のユーザーに紹介したり、興味のあるユーザーを自分が紹介してもらう機能もあるコンタクトのつながりを通じて新たなビジネスが創出することも期待されるという

「プロフェッショナルに焦点」で既存SNSと差別化

米LinkedInのアーヴィンド・ラジャン氏

 米LinkedInで日本・アジアパシフィック担当バイスプレジデント兼マネージングディレクターを務めるアーヴィンド・ラジャン氏は、FacebookをはじめとするSNSに対する優位点は、「プロフェッショナルに焦点を当てていること」と語る。

 ラジャン氏の言う「プロフェッショナル」とは、「ホワイトカラーで絶えずキャリアを高めるために学ぼうとしている人」を指している。「プロフェッショナルがLinkedInに求めているのは、プライベートのSNSと分けたいということだ」。

 主な収益元は、月額19.95ドルから提供する個人ユーザー向けの有料サービス、広告、企業向け人事採用ソリューションの3つ。今後、日本ではすでに外国語で利用していたという40万人のユーザーによる口コミなどを通じて、利用者拡大を図っていくという。

 「日本語版サイトは日本進出の第一歩。東京オフィスを開設したのは長期にわたって市場にコミットする意志の表れだ。日本人ユーザーの声を聞き、日本に適したかたちでサービスをローカライズさせていきたい。」


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(増田 覚)

2011/10/20 16:50