除染作業後の空間線量率をExcelで計算、原子力研究開発機構がプログラム公開


 独立行政法人日本原子力研究開発機構は2日、除染前後の空間線量率の分布を表示するプログラム「除染効果評価システム(Calculation system for Decontamination Effect:CDE)」を公開した。メールで利用申請することで、無償でダウンロードできる。Excel 2007/2010に対応する。

 学校などの公共施設、民家、農地、森林などを含む広範囲の領域を対象とした除染計画の立案に役立てることが目的。除染方法や除染範囲によって、空間線量率がどのように低減するかを計算し、地図上にカラーマップで表示する。対象としているのは、セシウム137とセシウム134。

 CDEを利用するにはまず、除染対象エリアの地形画像ファイルと表面汚染密度データが必要。地形画像は、地図をスキャンした画像やインターネットで公開されている航空写真などが活用できる。さらに地形画像ファイルを読み込んだ後、5メートル四方のメッシュごとに、道路、家屋、水田、畑といった土地の利用状況の種類を割り付けていく作業が必要だ。

 一方、表面汚染密度データは、文部科学省が実施・公開している航空モニタリングによる測定結果を利用できるほか、対象エリアで実際に測定した結果を入力することも可能。これにより、対象エリアの除染前の空間線量率の分布が表示される。

 さらに、除染方法に対応する「除染係数」を入力することで、除染作業後の空間線量率の分布がシミュレーション表示される。

 こうして算出したCDEの結果をもとに、あるエリアの空間線量率を目標値まで低減するために必要となる除染範囲や、放射性物質の除去割合をあらかじめ推定できるとしている。

 なお、CDEは、山間部や農村などの人家が点在している地域に適用でき、約100メートル四方より広い範囲の大規模除染の計画立案を支援するためのものだとしている。建物が密集している市街地には適していないほか、個人宅単位など狭い範囲の計算では精度が低下するとしている。


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(永沢 茂)

2011/11/2 15:39