文化庁のアニメ人材育成事業「アニメミライ」、ニコ動などで3月以降作品を公開


 若手アニメーターなどの人材育成を目的とした文化庁の事業プロジェクト「アニメミライ」の記者発表会が18日、東京都内で開催された。プロジェクトにより制作された4作品は3月以降、全国の映画館やテレビで放送されるほか、ニコニコ動画でも配信される予定。

 「アニメミライ」は、若手アニメーターなどの人材育成を目的としたアニメ作品の企画を募集し、制作資金を提供する文化庁の事業プロジェクト。2010年度から実施されており、2年目となる2011年度は、株式会社アンサー・スタジオの「ぷかぷかジュジュ」、株式会社白組の「しらんぷり」、株式会社テレコム・アニメーションフィルムの「BUTA」、Production I.Gの「わすれなぐも」の4作品が制作された。

 2011年度のプロジェクトで制作した4作品は、新宿バルト9など全国9館の映画館で3月24日から1週間上映される。また、アニマックスで3月5日から、毎日放送で3月下旬頃に放送するほか、ニコニコ動画でも3月下旬以降に配信を予定している。

 事業プロジェクト実施団体の一般社団法人日本アニメーター・演出協会(JAniCA)代表理事のヤマサキオサム氏は、「アニメ制作の現場もデジタル化や分業化が進み、効率は良くなったが、新人とベテランが同じ場所で働く機会が減ったことで技術伝承が難しくなった」と語り、実際のアニメ制作を通じて若手アニメーターを育成していくプロジェクトの意義を説明。初年度のプロジェクトに参加した人の中から、作画監督としてオファーが来たケースもあり、今後もさらに多くの若手スタッフにチャンスを与えていきたいとした。

 記者会見には、プロジェクトの広報大使に就任した歌手の西川貴教氏が、「日本で一番フォロワーの多いアニメファンです」と紹介されて登場。劇場版「けいおん!」を京都の映画館で見たといったエピソードを交えつつ、「日本が誇るアニメと言っているわりには、コストを下げるために制作が人件費の安い海外に流れたり、アルバイトをしながら制作に携わっている人もいるという。実際に作っている人たちの生活をいかに変えていけるかが大事だと思う」と語り、プロジェクトで制作された作品も多くの人に見てもらいたいと訴えた。

JAniCA代表理事のヤマサキオサム氏アニメミライ広報大使に就任した西川貴教氏

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(三柳 英樹)

2012/1/18 18:36