2011年の国内ネット広告費は4%増の8062億円、モバイルはスマホ向けが成長


 株式会社電通は23日、日本の総広告費と媒体・業種別の広告費を推定した「2011年 日本の広告費」を発表した。2011年の総広告費は5兆7096億円で、前年比97.7%。4年連続の減少となった。テレビ広告が微減するなどマスコミ4媒体が前年を下回る一方で、ネット広告や衛星メディア関連が増加した。

 ネット広告費(媒体費と広告制作費の合計)は8062億円(前年比104.1%)。内訳は検索連動型広告を含むウェブ(PC)広告が5021億円(同103.0%)、モバイル広告が1168億円(同97.3%)、広告制作費が1873億円(同112.2%)。

 ネット広告の媒体費は2010年に続き堅調に推移していたが、東日本大震災の影響により市場が一部停滞。さらに、モバイル広告市場はスマートフォン向け広告が拡大する反面、フィーチャーフォン向け広告が縮小し、市場全体は前年をやや超える規模にとどまった。

媒体別広告費(電通の発表資料より)

ウェブ広告費は震災の影響も再び拡大基調に、モバイル広告は微減

 ウェブ(PC)広告費は震災の影響があったものの、情報・通信や金融・保険などの主力業種を中心に緩やかに回復。再び拡大基調に戻った。検索連動型広告は震災の影響は軽微で、金融やeコマースなどの業種を中心に堅調に推移した。

 モバイル広告は、前年までの拡大傾向から一転して市場が微減。その背景には、震災の影響や、スマートフォン向け広告の成長の反面、フィーチャーフォン向け広告が減少したことなどが挙げられるという。

 「現時点では、一部の費用はスマートフォン向けのアプリの開発費に流れるなど、従来のフィーチャーフォン向け媒体費が必ずしもスマートフォン向け媒体費にそのまま移行しているとはいえない。」(電通)

 なお、スマートフォン向け広告費は337億円と、急増するユーザー数や注目の高まりに応じて大きく拡大。また、フィーチャーフォンとスマートフォンを合わせたモバイル検索連動型広告は463億円(前年比162.5%)だった。

 制作費は、企業のキャンペーンやプロモーションでネットを連動させる企画・展開が増加傾向。広告主はネット広告の予算を増やす傾向にある一方で、制作作業は領域が拡大し、かつ内容が細分化されつつあるという。

 また、スマートフォンやタブレット端末などの急速な普及により、スマートフォン用サイトやアプリの制作が急増。さらに、TwitterやFacebookなどさまざまなSNS施策が、前年よりも積極・拡大化の傾向にあるとしている。

マスコミ4媒体は前年下回る

 マスコミ4媒体の広告費は、新聞が5990億円(前年比93.7%)、雑誌が2542億円(同93.0%)、ラジオが1247億円(同96.0%)、テレビが1兆7237億円(同99.5%)と、総じて前年を下回る結果となった。

 このほか、衛星メディア関連広告費は前年比113.6%の891億円。特にBS放送は地上波放送のデジタル化に伴う3波共用薄型テレビへの買い替えによる世帯普及と、巨人戦をはじめとするプロ野球中継、紀行番組、時代劇、韓流ドラマなどを充実させたことで視聴率が上昇。その結果、大手広告主の新規出稿や出稿額が増え、前年比124.2%と大幅に伸びた。


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(増田 覚)

2012/2/23 18:37