「日本のソーシャルゲームは世界に通用する」、Mobageが海外展開を説明
DeNAの守安功社長 |
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)は25日、ソーシャルゲームデベロッパー向けのイベント「MobageオープンプラットフォームForum」を開催し、国内および海外におけるソーシャルゲームの今後の戦略を説明した。
DeNA代表取締役社長の守安功氏は、DeNAの米国子会社ngmocoが欧米を中心に展開する「Mobage Global」で、株式会社Cygamesのソーシャルカードゲーム「Rage of Bahamut」(日本語版タイトル:神撃のバハムート)がGoogle Playの全Androidアプリ売上ランキングで米国1位を獲得したことを紹介。「日本の成功モデルは海外でも通用すると確信した」として、来場したゲームデベロッパーに対して海外展開を呼びかけた。
海外展開の状況については、それぞれDeNAの子会社が展開している米国、中国、韓国の事情を紹介した。米国の「Mobage Globel」では、これまでも「Ninja Royale」のようなアクション系ゲームや、「Zombie Farm」のような育成系ゲームが人気を集めてきたが、日本で人気のカードバトル系ゲームも「Rage of Bahamut」が全アプリ売上の1位となるなど、多様なジャンルのゲームに幅広い人気があるとした。
日本発の「Rage of Bahamut」が米国でAndroidアプリ全体の1位を獲得 | 米国での取り組み |
中国では、2011年から「Mobage China」がスタート。現状でも毎日数万人の入会があり、2012年末には会員数2000万人を見込んでいるという。一方で、中国にはGoogle Play(Android Market)が存在せず、マーケットが分散している点が集客面で難しいという現状を紹介。そのため、SamsungやHuaweiといったデバイスメーカー、China Telecomなどのキャリア、新浪微博などのウェブサービスと連携し、各連携先からの集客を進めているとした。
韓国では、2012年2月に大手ポータル「Daum」との提携による「Daum Mobage」を開始したばかりで、現時点ではAndroid版のみの展開となっているため、iOS版のサービス開始に向けて作業を進めていると説明。Daumは3800万IDを抱える韓国でも最大手のポータルであるため、集客についてはDaumのサービスとの連携強化を軸に進めていくとした。
中国での取り組み | 韓国での取り組み |
守安氏は、「日本はソーシャルゲームの成熟期を迎えたが、欧米はこれからが成長期、中国や韓国はまだ導入期で今後の潜在的な巨大市場」という見通しを紹介。「日本では2009年の『怪盗ロワイヤル』からソーシャルゲーム市場が一変し、急成長した。海外でも『Rage of Bahamut』をきっかけに、日本から2年半遅れで世界市場も成長期に入ると期待している」とコメントした。
各市場の概況 | 世界市場も成長期に |
●今後は最初からスマートフォン向けにゲームを開発し、世界展開も
守安氏は、「Rage of Bahamut」の米国でのKPI(重要業績指標)についても、日本市場とほぼ同様の傾向を見せており、「日本のソーシャルゲーム市場は特殊だと言われてきたが、決してそうではない」とし、日本のソーシャルゲームのビジネスモデルは海外でも通用すると主張。同様に、海外ではゲームはアプリでなければダメで、日本のブラウザー型ゲームは通用しないとも言われてきたが、ブラウザービューを中心とした「Rage of Bahamut」がヒットしたことで、ブラウザー型ゲームが通用することにも確信が持てたとした。
また、日本では現在、スマートフォンからのMobageのコイン消費は全体の3分の1程度だが、7~9月期にはスマートフォンがフィーチャーフォンを上回るだろうという見込みを示した。こうした状況から、今後のソーシャルゲームの作り方は、最初からスマートフォンに特化し、欧米を見据えたゲーム開発が主流になるとした。
これまでのMobageにおけるゲームの作り方は、フィーチャーフォン向けにFlash Liteでゲームコンテンツを開発し、それをDeNA提供のツール「ExGame」でスマートフォン向けに変換するといった作り方が主流となっていたが、5月末にはスマートフォン上でアプリ並みの表現力を可能にする次世代のツール「Pex」をデベロッパー向けに提供すると説明。ExGameではフィーチャーフォンとの互換性を保つためにパフォーマンスを犠牲にしていた部分があったが、Pexを使うことでアニメーション表現などがよりリッチになるとともに、HTML5をベースとしたゲーム開発にも対応できるとした。
また、ゲームエンジンの「ngCore」についても起動速度や描画速度が向上する新バージョンを投入するとともに、開発環境についても6月に大幅な改善を予定。さらにHTML5に特化し、スマートフォンのブラウザー上でアプリと遜色ないゲームが実現できる環境の開発も進めており、半年以内にはこうしたリッチなブラウザーゲームタイトルもラインナップしていきたいとした。
守安氏は、「日本のソーシャルゲームは通用すると、自信を持って世界に出ていける」とし、現在ソーシャルゲームのことを最も深く理解しているのは日本のデベロッパーであり、これからが日本で展開してきたコンテンツやビジネスモデルを世界に展開できる「またとないチャンス」だと主張。「みなさんといっしょに、日本発のソーシャルゲームを世界で提供していきたいと思います」と決意を語った。
従来はフィーチャーフォン向けゲームをスマートフォン向けに変換 | 今後は最初からスマートフォン向けに開発したゲームが主流に |
次期ツール「Pex」は5月末をめどに提供予定 | アプリの開発環境も改善 |
合弁会社を設立しているバンダイナムコゲームスをはじめ、ゲームデベロッパー各社も登壇して新作の予定などを発表 | イベントの合間には横浜DeNAベイスターズのマスコット「DB.スターマン」も登場 |
関連情報
(三柳 英樹)
2012/4/26 12:49
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