スマホ躍進を不況が相殺、世界の携帯市場は低成長~IDC調査


 2012年、携帯電話の世界市場における成長率は、前年比4%をわずかに超える程度に留まる。フィーチャーフォン市場の急激な落ち込みと世界経済の不調を受け、米IDC(International Data Corporation)は、2009年以来の最も低い予測値を公表した。

 四半期毎に発表されるIDCの予測によると、2012年の携帯電話出荷数は前年の出荷数17億台を上回り、18億台弱になるという。また、2016年末までに出荷数は23億台に達するとしている。

 携帯市場全体の低い成長率は、フィーチャーフォンの出荷数が今年、当初予定よりも10%減少するためという。仕事への不安や経済の不透明な先行きを背景に、フィーチャーフォン利用者が買い控えしている状況が示される一方、出荷数の減少にも関わらず、フィーチャーフォンは今年の携帯市場の61.6%を占める見込みだ。

 こうした中でスマートフォン市場は、前年比38.8%増の6億8600万台になるとの予測値が示され、フィーチャーフォンの下落を大きく相殺する形になる模様だ。スマートフォンは、携帯電話事業者の充実した購入補助、平均販売単価の下落、スマートフォンの認知度向上、端末の多様性、安いデータ通信料金などの要因で高い需要を示している。

 さらにIDCでは、今後成長が見込まれる端末プラットフォームとして、Android、iOS、Windows Phoneの3つをあげている。今後5年間でAndroidは出荷数でトップを維持する見込みだが、iOSは成長が鈍化し2016年までに市場シェアを落とすと予測。Windows Phoneについては、ノキアが強いエマージング市場で数を伸ばし、2016年にも19.2%のシェアを得てiOSを上回るとしている。BlackBerry OSは引き続き6%前後のシェアを維持すると予測されている。


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(津田 啓夢)

2012/6/8 11:28