2021年に人工頭脳で東大入試を突破、数学担当で富士通研究所が開発に参画


「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトのロゴ

 国立情報学研究所(NII)は10日、人工頭脳の開発プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」(以下、東ロボ)に、株式会社富士通研究所が数学チームとして参画することを発表した。自然言語で表記される入試問題を解析し、実際に高得点をとれる人工頭脳の開発を目指す。

 東ロボのプロジェクトは、分野ごとの細分化が著しい人工知能技術を再統合することにより、人間の思考に関する理解をさらに深めるという理念のもとで2011年にスタート。2016年までに大学入試センター試験での高得点獲得、2021年には東京大学の入試を突破できる人工頭脳を開発することが目標としている。

 プロジェクトは、入試の教科ごとにチーム分けされ、富士通研究所はこのうち数学を担当する。入試問題の提供は、ベネッセコーポレーション、東京書籍、ジェイシー教育研究所が行う。

 人間用に表記された数学問題を人工頭脳が解くには、意味解析、立式、計算処理という3段階に渡ってのアプローチが必要となる。中でも、問題文の意味表現を自然言語処理によって解析し、人工頭脳が処理できる形式へ変換するには、問題文の言語解析に加え、前提となる数学用語や高校数学知識を統合することが必要であり、困難が多いという。人工頭脳自身が問題をどのように解くか判断することも求められる。

 また、立式ができたとしても、人工頭脳が大学入試2次試験レベルの問題の正解を導き出せる率は現状で5~6割程度のため、計算アルゴリズムの高度化も重要という。

 富士通研究所は、数学問題を解くために必要となる「数式処理・計算機代数」技術の研究を長年行っていることから、東ロボへ参画した。最終的には、高度な数理分析の自動化などを達成し、現実世界の各種問題解決に役立てることを目標にしている。

人工頭脳が人間用の数学問題を解くために必要となる手順

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(森田 秀一)

2012/9/10 17:14