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アドビ、C/C++プログラムをFlash用にコンパイルする無償ツールなど公開

ゲーム開発者向けに「Adobe Game Developer Tools」

 アドビシステムズ株式会社は4日、ゲーム開発者向けのツール群「Adobe Game Developer Tools」の提供を開始した。5つのツールで構成されており、アドビのクリエイティブ系ソフトウェアを会費制で提供するサービス「Adobe Creative Cloud」を通じて提供する。

 Game Developer Toolsとして提供するのは、「Adobe Scout」「Adobe Gaming SDK」「Flash C++ Compiler」「Flash Builder 4.7」「Flash Professional CS6」。

 Adobe Scout、Adobe Gaming SDK、Flash C++ Compilerの3つは今回新たに公開したもので、しかも無償となっている。Adobe Creative Cloudの有料会員だけでなく、無料会員でも利用可能だ。

 一方、Flash Professional CS6は既存の有料オーサリングツール、Flash Builder 4.7は同じく有料のActionScript開発環境のアップデート版となる。Adobe Creative Cloudの有料会員はフル機能を、無料会員は30日間の体験版を利用可能だ。

「Adobe Game Developer Tools」を構成するツール

Adobe Scout

 ActionScriptのほか、Flash PlayerやAIR内部の動作状況を視覚的にプロファイルできる検証ツール。開発コード「Monocle」として紹介されていたツールの正式版となる。アプリケーションの動作状況をフレーム単位や画面のヒートマップなどで表示することで、処理が重い部分などの問題点のピンポイントでの把握やパフォーマンスのチューニングが可能になるとしている。当初公開するバージョンが無償となっており、無料会員でもフル機能を使用可能。後日、有償会員のみが使用可能になる予定。

Adobe Gaming SDK

 ActionScriptベースのゲームを開発する際の生産性を高めるのに必要なコンポーネントをワンパッケージで提供するもの。Runtimes SDK、「Starling」「Feathers」「Away 3D」といったオープンソースフレームワーク、「Game Center」「iAds」やiOSアプリ内課金などのネイティブ拡張、サンプルコード、ラーニングリソースなどが含まれる。

Flash C++ Compiler

 C/C++で記述されたプログラムをFlash Player/AIRで動作するようにコンパイルするツール。PC用、あるいはファミコンやXbox 360、PlayStation 3などのゲームコンソール用に開発されたソフト資産をFlash Player向けに広く展開できるとしている。例えばEpic Gamesでは、Unreal Engine 3を用いたゲーム「Epic Citadel」を、Flash C++ Compilerを活用してウェブに移植したという。

Flash Builder 4.7

 今回はアップデートにより新機能が追加された。まず、最新のFlashランタイム(Flash Player 11.4、AIR 3.4)のサポートにより、Flashランタイム初のマルチスレッドを実現する「ActionScript Worker」の生成とデバッガーの対応が行われたほか、Mac OS環境ではiOSシミュレーターによるプレビューにも対応した。また、次世代コンパイラー「ActionScript Compiler 2.0」のサポートにより、コンパイルの高速化、作業メモリの削減など性能を向上。「Apache Flex 4.8 SDK」の正式サポート、Adobe Scoutとの連携、64bit対応なども行った。

 アドビシステムズでは、Facebookの人気ゲームアプリ上位10種すべてがFlashを採用していることなどを挙げ、ソーシャルゲームやモバイルゲームでのFlash採用が加速していると説明。13億のインストールベースがあるというデスクトップ向けFlash Playerへも、5億デバイスのAIRモバイルアプリとしても、同一コードで展開できるActionScriptのディストリビューション面での有利性を強調している。

「Adobe Creative Cloud」が今年5月に提供開始されてから追加されたツールや機能

(永沢 茂)