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NEC、SNS上で嗜好に合わせた話題を提供する技術、仙台の仮設住宅で実証実験

 日本電気株式会社(NEC)は25日、SNSにおいて対話を喚起する話題を見つけ出し提供することで、友人関係の構築や強化を実現するコミュニケーション活性化技術を開発したと発表した。

 開発した技術は、SNSの投稿内容、閲覧履歴、友人関係などから利用者の興味を高精度に分析し、最適な話題を提供することでSNSの活性化を実現する技術。この技術を用いた評価実験を、関東近郊に住む20人(平均年齢60.1歳)を対象として実施したところ、導入前と比較してSNS上でのコミュニケーション量が約2.1倍、利用者間の友人登録が約3.1倍に増加しており、技術が地域における住民の社会参加や企業における従業員同士の意思疎通を促進するとしている。

 また、NECと宮城県仙台市の「あすと長町仮設住宅自治会」では、同技術を用いた実証実験を仙台市の仮設住宅で実施している。実験は、被災地で顕著な人間関係の希薄化や高齢者の生活不活発化などの課題を解決するため、住民のコミュニティ参加により日常的な見守りの実現を目指すもの。NECネットイノベーション株式会社および東北学院大学と共同で住民約40人を対象に2月末まで実施しており、実験終了後も一部のサービスを除いて継続的に運用される予定。

 あすと長町で行っている実証実験では、タブレット端末に配信される自治会からのお知らせやニュース記事などの話題を基に意見交換できる、地域専用の掲示板型SNS「デジタル談話室」を提供。NECのコミュニケーションロボット「PaPeRo」にタブレット端末の操作方法を音声でガイドする機能を搭載し、高齢者でも簡単に操作できるようにしている。また、外出や就寝などの情報をタブレット端末に入力することで、あすと長町自治会の見守り担当員に利用者の状態を提供する「見守りシステム」や、スマートフォン上のTPOボタンを押すだけで、利用者の興味関心に合う地域の催し、ニュース、天気などタイムリーに提供する「TPOボタン」といったサービスも提供している。

 NECでは、今回の技術を様々な地域SNSソリューション、企業向けの情報共有ソリューションに活用できるよう、引き続き研究開発を強化していくとしている。

(三柳 英樹)