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富士通研究所、回線状況に応じて最適なプロトコルを自動選択する技術を開発

 株式会社富士通研究所は7日、無線回線や国際回線などを経由するアプリケーションの利用において、回線環境に最も適したプロトコルを自動的に選択することで通信をより高速化する技術を世界で初めて開発したと発表した。

 ファイル転送や仮想デスクトップのようなアプリケーションではTCPが標準的に用いられているが、TCPは品質の悪い通信環境ではデータ損失が発生し、データ再送による遅延により通信性能が出ないという課題がある。

 この課題に対して、パケットロス時の再送方法を工夫して通信性能を向上させる高速再送方式や、データに冗長性を持たせる誤り訂正方式がある。ただし、それぞれに一長一短があり、すべての通信環境やアプリケーションに対して最適な通信性能を提供できるわけではない。

 富士通研究所が開発した技術は、通信環境やアプリケーションの種別など利用条件ごとにあらかじめ各通信プロトコルの特性をモデル化しておき、実際の利用時に各プロトコルの通信性能を高速に推定し、最適なプロトコルを自動的に選択するもの。これにより、モバイル端末のアクセス最適化や、データセンター間通信の高速化、ISPにおける拠点間最適接続サービスなど、各種利用シーンで通信性能の向上が期待できるとしている。

 富士通研究所では、この技術を通信ミドルウェアとして2013年中に実用化することを目指す。また、3月7日~8日に沖縄で開催される「電子情報通信学会 情報ネットワーク/ネットワークシステム合同研究会」で技術の詳細を発表する。

(三柳 英樹)