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グルーポン・ジャパン、「夢のおせち」プレゼントキャンペーン

“ゴミおせち”問題を総括、新生グルーポンをおせちからスタート

 グルーポン・ジャパン株式会社は11月21日、2014年度の事業戦略説明会を開催。おせち問題を振り返り、社内のプロセス改善について説明し、今後の事業方針については、品揃えの多様化、カスタマーエクスペリエンスの改善、モバイルの強化、他にない特別な体験系ディール「WOW! ディール」を4つの柱として、ビジネスを強化する方針を説明した。なお、“ディール”とは共同購入で販売されるクーポン商品を指す。

全国展開早々に起こった“おせち問題”を振り返る

今年8月にグルーポン・ジャパン株式会社代表取締役CEOに就任した根本 啓氏

 グルーポン・ジャパン株式会社は、前身のQ:podを米国グルーポンの資本を受け、2010年8月にグルーポン・ジャパンとしてスタート。同12月に日本全国でビジネスを開始したが、スタート早々の2011年1月に「グルーポン・おせち騒動」が起こった。グルーポン・おせち騒動は、おせちクーポンを販売した店舗「バードカフェ」のおせちが正月までに届かず、しかも内容がサイトの見本写真とまったく異なっていたというもので、テレビでも大きく報道された。

 2011年2月には、消費者庁が消費者の苦情を受けて、おせち料理を製造販売したバードカフェを経営する株式会社外食文化研究所に措置命令を下したほか、グルーポンを運営するグルーポン・ジャパン株式会社に対しても、景品表示法違反とならないようにする措置を講じることを求めた。

 グルーポン・ジャパン株式会社代表取締役CEOの根本 啓氏は、おせち騒動以前の業務プロセスを全面的に見直したことを説明。

 ディールがサイトに掲載されるまでの流れにおいて、おせち問題前は、営業スタッフの人事評価が売上を偏重した評価制度となっていたが、顧客満足度を含めた評価制度へ見直したのをはじめ、審査の基準数を30項目から200項目へ、掲載情報の校正は外注から社内カテゴリ別専門チームへ、パートナーとの確認作業は掲載内容の通知のみから掲載内容の双方向での確認へと改めたと説明した。

 掲載後についても、対パートナーでは店舗をフォローする専門部署を設立し、クーポン購入者に対しては以前72時間以内のメール返信率が70%だったところ、電話での対応24時間以内のメール返信率が93.9%、受電率97.9%まで向上させたという。

 根本CEOは、「当時は外部の人間として報道を見ていたが、注目されていた新しいサービスでこうした事故が起きてしまったとを残念に思っていた」として、今年8月にCEOに就任以後は、顧客の声にいかに応えるか、パートナーに対しては掲載前後のサポートをいかに手厚くできるかに取り組んできたと説明した。

グルーポン・ジャパンの沿革
おせち問題の振り返り
社内プロセスの改善

豪華五段重、「夢のおせち」プレゼントキャンペーン

 グルーポンは、2014年を新生グルーポンのスタートラインと位置づけ、第一弾の取り組みとして「夢のおせち」プレゼントキャンペーンを実施する。

 キャンペーンでは、日本料理、フランス料理、中国料理、スペイン料理、デザート料理の段が1段ずつの豪華五段重「夢のおせち」を抽選で計5名にプレゼントする。おせちの当選者には、12月31日にグルーポン社員が宅配業者とともに配達する。鮮度を保つため、配達先は関東地区に限られるほか、メディア取材に協力できることが条件となる。キャンペーンの応募期間は11月21日14:00から12月16日11:59まで。

 根本CEOは、「『おせち』というのは我々が忘れてはならないキーワード。もう一度、おせちからはじめようということでどういったおせちを提供したらよいかを考えてきた。一流の料理人の方に1段ずつ作っていただいたセットにすることで、夢のおせちになるのではないかと考えた」と夢のおせちキャンペーンについて語った。

 日本料理の段は「馳走〓啄(そったく、〓は口へんに卒)」の西塚茂光氏、フランス料理の段は「ル・マンジュ・トゥー」の谷 昇氏、中国料理の段は「四川飯店」の陳 建一氏、スペイン料理の段は「レ・ストゥディ」のジュセップ・バラオナ氏、デザートの段は「オー・ボン・ヴュータン」の河田勝彦氏が担当する。

 発表会にはジュセップ・バラオナ氏が出席、「5人の別の場所にいるシェフの料理を一緒に味わうことはなかなかできない。家族や友だちを呼んで、パーティのような形で楽しんでほしい」とコメントした。

 今回のキャンペーンだけで、不信感は払拭できないのではという質問に対して根本CEOは、「不信感や不安を払拭できるとは考えていない。ひとつのキャンペーンで不安や不信の気持ちが変わるとは考えていない。ひとつひとつの審査や質を改善していくことでしか、軽減できないのではないかと考えている。この2年半、少しずつ改善してきたこと、その間も多くの顧客やパートナーに利用していただいて事業を継続できているので、そうした顧客やパートナーへの感謝の気持ちを込めて企画させていただいた」と企画の意図を説明した。

 グルーポン・ジャパンでは2011年のおせち騒動以後、おせち料理を扱っていない。2014年の正月向けおせちもプレゼントキャンペーンのみとなっているが、根本CEOは「2015年の正月におせち販売を再開したいと考えている」とコメント、信頼回復に務めながら2015年にはおせち販売にも取り組みたいとの考えを示した。

夢のおせちキャンペーン
「レ・ストゥディ」のシェフ、ジュセップ・バラオナ氏(左)と根本CEO。持っているおせちの器は、キャンペーン当選者に実際に届けられるものと同じ

品揃えの多様化、検索機能の改善、新モバイルアプリの提供

 根本CEOは、業務プロセス改善とともに、より幅広い品揃え、選択肢を広げるためにディールの数も拡大していると説明。2年前に比べてディールの数はおよそ2.5倍に増加したという。

 事業戦略のひとつ、品揃えの多様化については、新たにレジャーのカテゴリーを充実させ、スキーやマリンアクティビティ、ゴルフなどの品揃えを強化する。また、日本ならではの物産品や酒類などの新カテゴリーや、日本以外の国のインターナショナルトラベルのディールについても充実させる予定だという。

 カスタマーエクスペリエンスの改善については、掲載ディール数の増加もあり、検索性などを向上させる。検索や絞り込み機能、レコメンデーション機能を改善する。また、顧客の購入フローやカスタマーサポート対応も見直し、より良い体験を提供することを目指すとした。

品揃えの継続的な強化
カスタマーエクスペリエンスの改善

 また、事業戦略の柱のひとつとして、「モバイルファースト」が挙げられている。グルーポンでは、iPhoneアプリ「Grouppon」、iPadアプリ「GROUPON HD」、Androidアプリ「Groupon」を順次提供開始した。利用はいずれも無料で、App StoreまたはGoogle Playから無料ダウンロードできる。

 最新版アプリではインターフェイスのデザインを一新。また各プラットフォームに最適化することで、クーポン商品の写真などが大きく見えるようにした。iPhoneアプリとAndroidアプリでは新しく、毎日決まった時間にお知らせが届く「通知機能」を搭載した。

 iPad版では「GROUPON HD」ではエリア選択で世界の12地域が追加され、世界42カ国でアプリが利用できるようになった。なお、GROUPONのアプリでは、クーポン利用の際に、クーポンを画面で提示するだけで利用できる。

モバイルの強化。左が従来のアプリ画面、右が新アプリの画面で、写真が見やすくなっている
グルーポンのクーポン購入は40%以上がモバイル端末から

(工藤 ひろえ)