ニュース

NEC「BIGLOBE」の売却について説明、ブランドやサービスは当面そのまま継続

 日本電気株式会社(NEC)は30日、ISP事業を手がける子会社のNECビッグローブ株式会社(BIGLOBE)について、NECが保有するBIGLOBEの株式(発行済株式の78.0%)を、日本産業パートナーズ株式会社が運営する投資ファンドにすべて譲渡すると発表した。株式は3月末をめどに譲渡を完了し、4月から新体制での事業運営を開始する予定。

 NECが30日に開催した2013年度第3四半期(2013年10月~12月)決算説明会では、NECの継続的な事業ポートフォリオの見直しの一環として、今回の株式譲渡を説明。NEC取締役執行役員兼CFOの川島勇氏は、「株主が変更となりますが、NECおよびBIGLOBEが提供するサービスは継続して提供していくので、ユーザーの方々にはご安心いただきたい」とコメント。BIGLOBEの売却額については公表しなかったが、NECではBIGLOBEの売却に伴い、約270億円の関係会社株式売却益を特別利益として連結決算に計上する見込みだとした。

NEC取締役執行役員兼CFOの川島勇氏
NECが保有するBIGLOBE株式を投資ファンドに売却

 売却については、一部の事業を切り離して残すといったことはなく、すべての事業を譲渡するものだと説明。また、法人向けサービスなど、BIGLOBEのサービスを利用してNECが提供しているサービスやSI事業については、従来通り連携を密に継続して提供していくとした。

 赤字事業ではないBIGLOBEをなぜ売却するのかという質問には、「BIGLOBEの競争力獲得と事業拡大のためには、機動的な事業運営が必要だと判断した」として、今回の売却により日本産業パートナーズの資金面や経営面での支援を受けることで、さらなる事業成長が期待できると説明。譲渡後に、さらに他の企業への事業譲渡などISPの再編がありうるかという質問には、「基本的には私どもが答える立場にはないが、当面は資本関係が変わるだけで、同じ体制でビジネスを継続していくことになる」とコメントした。

 「BIGLOBE」ブランドについても、日本産業パートナーズとはブランドを継続していくことで話を進めており、社名についてもその方向で検討しているため、「“NEC”は消えるが、“ビッグローブ”は残ると思う」とした。

 事業ポートフォリオ見直しでは、データセンター運用や保守サービスなどを手がけるNECフィールディング株式会社について、完全子会社化に向けて株式の公開買付けを実施することも発表した。NECフィールディングは東証一部に上場しているが、NECが現持分(67.11%)以外の株式について公開買付けを実施することで上場廃止となる見込み。買い付け代金の総額は283億円。

 NECフィールディングについては、NECグループのプラットフォーム関連サービス提供の中核会社と位置付け、同社に関係機能を集約していくと説明。データセンター運用の統合や、オンサイトでのクラウドサポート、保守サービスの効率化、販売・導入・構築・廃棄までのライフサイクルのワンストップサービスをSMB市場に提供していくことなどで、社会ソリューション事業を支えるサービス提供体制を強化するとした。

 また、NECフィールディングの完全子会社化により、直接効果としては少数株主損益の取り込みで純利益が約20億円増、クラウドサービス提供機能の集約やコールセンターなどの集約による費用削減効果として、3カ年計で営業利益が約200億円改善する見込みだとした。

NECフィールディングは完全子会社化
完全子会社化の期待効果

(三柳 英樹)