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米Comcastが米Time Warner Cableを約4.6兆円で買収へ

~超巨大ケーブル会社誕生で3位以下を大きく引き離す

 米ケーブルテレビ最大手のComcastと、米ケーブルテレビ第2位のTime Warner Cableは13日、ComcastがTime Warner Cableを約4.6兆円で買収することで最終的な合意に達したことを発表した。

 総買収金額は13日の株価に基づき約452億ドル(約4兆6200億円)で、株式交換を通じて行われる。発表によると、Time Warner Cable株主は保有1株につきComcast株2.875株を受け取る。

 今回の買収によって約15億ドルのオペレーションコスト節減が見込まれ、Comcastの1株当たりのフリーキャッシュフローも改善する見込み。さらに、Comcastは買収完了後に100億ドルの追加自社株買いも実施する計画であることを明らかにした。

 Time Warner Cableを巡っては、米国ケーブルテレビ4位のCharter Communicationsが昨年買収提案をしていたが、折り合わなかった経緯がある。その結果、業界上位2社による巨大ケーブル企業が誕生することになれば、3位以下を大きく引き離すことになる。両社合わせた契約世帯数は、競争法関係の問題に配慮した結果、約3000万世帯になる。

 買収は年末までに完了すると見込まれているが、今後株主と規制当局双方の承認が必要となる。発表後のTime Warner Cable株の値動きから、今回の買収を規制当局が承認するかどうかに市場が懸念を持っていると考えられ、この点にも注目が集まっている。

 Comcast、Time Warner Cable両社共にケーブルテレビ事業として動画コンテンツの高度な配信サービス、音声通信サービスも提供しているが、特に注目されるのはブロードバンド接続サービスだ。

 発表文では、買収のメリットとして「この合併により、より多くのアメリカの消費者が優れたビデオ体験、より高速なブロードバンド、最速の家庭内Wi-Fiを含む技術革新の恩恵を受けることになる。この取引はまた、大幅なコスト削減などの率化も推進する。アメリカの企業は、より広範なプラットフォームの恩恵を受け、当社は大企業向けに高性能なポイントツーポイント及びマルチポイントのイーサネットサービスや、クラウドベースのマネージドサービス企業へのような高度なサービスの提供が可能になる。またこの取引により、相補的な広告プラットフォームとチャネルを組み合わせることができ、その結果としてComcastは、全国の広告主に対してより広範かつより価値のあるパッケージを提供できる」と説明している。

 新Comcastの巨大さを考えると、米国ブロードバンド接続の大きな割合をComcastが保有することになり、その上で膨大な動画コンテンツを配信することになる。それで特定コンテンツプロバイダーに優位性を持たせるネット中立性の問題などにも注目が集まりそうだ。これに伴い、ブロードバンドサービスとともに提供される膨大なテレビコンテンツやビデオオンデマンドサービスとネット動画サイトとの競争激化も予想される。

(青木 大我 taiga@scientist.com)